「創業ではなく継続が大事」と謳う丸山理(まるやまおさむ)さんに聞いた行政書士のホントのところ

行政書士丸山理事務所・丸山理氏

知っているようで、意外と実態がよくわからない行政書士という仕事。行政書士とは一体どのような仕事で、いつどのように依頼するとよいのか?そして行政書士になるうえで気を付けるべきことは何か?異業種から転身し、40代で行政書士となった丸山理さんの深層に隠れた真相にせまります。

独立後すぐコロナ禍が直撃するもチャレンジし続ける

ー丸山さんの立ち上げから今に至るまでの経緯を教えてください。

2018年12月に行政書士登録をしたのですが、お金もコネもなく、せめて運転資金だけでも貯めようと思って、1年間は居酒屋で店長をやっていました。行政書士の仕事も一応ありましたが、居酒屋の先輩が仕事を出してくれた1件のみだったので、2019年の年間売上は19万円です(笑)

2020年1月末で会社を辞めて、フリーランスになりました。「これから独立してやっていくんでよろしく!」みたいな話をしていましたが、同時期に新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令されて、飲食業界も軒並み売上が激減しました。

飲食業界で仕事を獲得する予定でしたが、まったく仕事がない状況となりました。持続化給付金が始まったことに伴って、2020年は補助金の申請業務を主にやりました。2021年には、いろんな人の紹介で補助金申請の仕事がある程度取れるようになり、合わせて士業仲間も増えました。

2022年から5期目に入りましたが、1期目は“開店休業”状態だったので、実質4期目ってところかもしれません。

ー「創業ではなく継続が大事」ということを、コロナ禍でご自身が一番体感されたのですね。

コロナ禍だからと言って、世の中の仕事が全部なくなった訳ではなく、コロナで売り上げを伸ばした業界だってあります。結局、”コロナだから伸びない”って言い訳でしかないんですよね。

「コロナ以外に原因はないんですか?」

「コロナ禍でもできることはありますか?」

このように質問すると、考える方もいれば、諦めている方もいて、半々に分かれますね。自分の想いをどれだけアクションを起こせるか、チャレンジできるかだけの話だと思っています。

行政書士の選び方や依頼のポイント

ー行政書士を選ぶ際にはどのようなポイントがありますか?

まず、インターネットを使って行政書士を探すのはやめた方がいいと思います。お金を出せば広告枠で検索上位に出てきますし、「いい会社だろうな」と、なんとなく思い込んでる節があるじゃないですか。しかし、安いからといって依頼すると、あれよあれよと金額を上乗せされるケースがあります。

行政書士のできることや相場感を調べる観点で、ネット検索は使ってもらっていいと思いますが、最終的な判断はプロフィールやどんな人かを見ることが大事です。

極端な話、どこにお願いしても答えはそんなに変わりません。知り合いの士業の方に紹介してもらうのが一番いいのではないかと個人的には思います。紹介者には責任があるので、変な人を紹介はしないでしょう。

依頼の際に圧倒的に多いのが、本当に今困っててどうしようもない状況の人が、ネットで検索して安いから依頼してくるケース。行政書士からするとすぐお金になって良いのですが、依頼者の立場に立つと「本当にいいのか?」を考えないと、足元をすくわれることもあります。

行政書士は“何でも屋さん”だから、どんな仕事も受けてくれたりもします。しかし「やります」と言っても、「出来ます」とは決して言わないんですよ。だから「なんでもやります!」と、強調する行政書士は辞めた方がいいと思います(笑)

行政書士を目指す方が知っておくべきこと

ー行政書士になる人が陥りがちなことはありますか?

行政書士は法定研修のような場がなく、求人が少ないことから実務経験が積める機会も少ないため、自分で仕事を始めようとする人が割と多いように感じます。

しかし、試験と実務が直結していないので、まず何をしていいかわからないのです。必然的に、営業活動から始める必要があるのですが、1人で頑張るうちに、結果が出せなくてメンタルがやられてしまう人もいます。

行政書士として毎年4,000〜5,000人が合格するのですが、登録者は4〜5万人でほぼ横ばいで推移しています。つまり、行政書士に登録をして廃業する人も多いということです。

行政書士に必要な資質でいうと、営業力やコミュニケーション能力ですね。実務的な力は、お客さんができてから覚えても遅くはないです。どんなにスキルを磨いてもマネタイズできないと意味がないからです。

それでも資格継続という観点で行政書士は生き残りやすいですよ。例えば、弁護士は月額会費で5万円がかかる一方で、神奈川の行政書士は月額会費6,000円です。最悪、行政書士は単発バイトを1件くらいすれば続けることができます。

横浜地域を中心に、繁盛を継続させるために

ー最後に今後の展望を教えてください。

私は横浜の人間なので、主に横浜地域の方々と一緒に作っていきたいと考えています。他にも川崎や、東京・千葉まで行きます。主な顧問契約先は飲食業界ですが、そこに限らず経営者の皆さんと一緒に経営のことを考えていきたいと思っています。

あくまでも行政書士は資格の1つという感覚なので、行政書士を前面に出さなくてもよいと思っています。

「ちゃんと5年後、10年後を見ていますか?」

「その日暮らしで経営していないですか?」

クライアントにはこのように聞くことがあります。継続という観点で、顧問として目標を一緒に決めて、どのように辿り着いて行くかの道すじを考えていければと思います。

創業が目的ではなく「開業したら30年は続けてもらいます!」と謳い、今後もお力添えをさせていただきます。

(プロフィール)

行政書士丸山理事務所
丸山 理

■経歴
1970年、神奈川県横浜市生まれ。現在、同県川崎市在住。1993年に日本大学法学部法律学科を卒業。その後は一般企業に入社し、横浜市内・東京都内で飲食業界20年・不動産業界10年を経験。さまざまな方との出会いを何よりも大切に、社会人生活を送る。飲食業界時代はアルバイト100名を率い、年商3億円の店舗を切り盛りした経験を持つ。その後、行政書士の資格を取得し、2018年12月「行政書士丸山理事務所」を開業する。相続・遺言・成年後見・事業資金調達サポート・建設業許認可・会社設立などの業務を通して、横浜・川崎の頑張る人と企業を応援し、横浜、東京、千葉の顧問先を中心に「想い」実現パートナーとして奔走中。

■実績
【保有資格】行政書士・宅建士、銀行融資診断士、顧客心理士
【所属】日本行政書士会連合(登録番号18092501号)、神奈川県行政書士会、 東京出入国在留管理局申請取次行政書士
https://gyousei-maruyama-office.com/
https://hanjoutenkaigyou.com/

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