米国のバイデン政権が、ByteDance(バイトダンス)が運営する動画アプリ「TikTok」の国内利用に対し、これまでで最も強固な対応を取りました。その内容は、創業者の株式を売却しなければ米国での使用を禁止にする、というものです。米国メディアが報じました。
中国への情報流出が懸念されるなどを理由に、米国では以前から、TikTokの国内利用について物議を醸していました。2022年12月14日には、連邦政府関係の端末にTikTokのダウンロード・利用を禁止する法案が、米上院にて全会一致で可決。
そして米政府は2023年2月27日、連邦政府職員に政府支給の携帯電話などからTikTokを削除するよう命じています。それに対し中国外務省は、「米国が国家権力を乱用して海外企業を弾圧している」と反論しました。
今回、バイデン政権の対応はこれまでで最も強固な対応となり、現在もTikTok利用の規制に関する法案が議論されています。23日には、TikTokのCEOが初めて議会で証言を行う見通しです。
この問題についてネット上では、「アメリカは少しやりすぎかも」「強盗のようなやり方をする」「今後誰もアメリカに投資しなくなる」など、米国への批判的な意見が寄せられています。
なお、TikTok側のバイトダンスは15日、「国家の安全を守ることが目的であれば、株式を売却しても問題は解決しない」と主張しています。
米国国内でTikTokの利用が全面的に禁止される?
米国議会下院外交委員会は3月1日、米国国内でTikTokの利用を禁ずる法案を賛成多数で可決しました。今回の法案は、一般人も含めてTikTokの利用を全面的に禁止するというものです。
法案を提案した野党・共和党のマコール外交委員長は、「TikTokは国家安全保障上の脅威だ。スマホなどにTikTokのアプリをダウンロードしている人は、個人情報を中国共産党に知られてしまう。言うなればスマホのなかの偵察気球だ」と述べました。
米国防総省は2月4日に、中国の偵察気球を大西洋の米領海上で撃墜したと発表しており、マコール外交委員長のコメントは、この気球事件とTikTokの利用制限をかけた表現です。
米国が中国に対して不信感を募らせているのは、中国による気球事件も大きく影響しています。当時、国防総省は「主権を侵害する容認できない行為」だと非難しました。
今後、米国政府はTikTokの利用に関する規制をさらに強める可能性があります。米国とTikTokのこれからの動向にも注目したいところです。