2022年の小中高生の自殺者数が過去最多の514人 自殺原因で最も多いのは学業不振

厚生労働省と警察庁は3月14日、「令和4年中における自殺の状況」を公表しました。これによると、2022年の小中高生の自殺者数は514人で、1980年に統計を開始してから初めて500人を超え、過去最多となりました。

令和4年の自殺者数は合計21,881人であり、前年と比べて874人(4.2%)増加しています。また男女別で見ると、男性は13年ぶりに増加。一方で女性は3年連続で増加しており、男性の自殺者数は女性の約2.1倍となりました。

なお、2022年の自殺者のうち学生・生徒などは1,063人で、その内訳は以下の通りです。

  • 小学生17人
  • 中学生143人
  • 高校生(全日制)259人
  • 高校生(定時制・通信制)89人
  • 高校生(特別支援学級)6人
  • 大学生(学部)380人
  • 大学生(夜間学部)4人
  • 大学生(その他・不詳)54人
  • 予備校生10人
  • 専修学校等101人

自殺の原因・背景については、多様かつ複合的な原因及び背景があるとされており、さまざまな要因が連鎖するなかで自殺が起こっているとのことです。小中高生の自殺原因で最も多かったのは、学業不振で83人。次点で、進路に関する悩みで60人でした。

そのほか、病気の悩み・影響(その他の精神疾患)が56人、学友との不和(いじめ以外)が49人、うつ病の悩み・影響が44人、親子関係の不和が40人と続いています。以前から学校でのいじめ問題が大きく報道されていますが、統計では学業不振や進路の悩み、家庭内の不和が動機の上位を占めるとのことです。

東京都庁で自殺予防策を担当する向山倫子氏は、「自殺の理由はわからない領域が非常に大きく、色んな要因を積み重ねていることが多い」と語り、その上で「的外れな対策をとらないために、国レベルでの理由の分析は必要だ」とコメントしました。

子供向けの電話相談窓口は大きく3つ存在する

小中高生の自殺者数が過去最多となったいま、若年層の自殺問題が大きな話題となっています。そんななか、厚生労働省は以下3つの子供向け電話相談窓口を紹介しています。

【チャイルドライン】

18歳までの子ども専用の電話窓口。チャット相談も可能。

電話番号0120-99-7777
実施日時毎日午後4時〜午後9時
ホームページチャイルドライン(特定非営利活動法人(NPO法人) チャイルドライン支援センター)

【子供のSOSの相談窓口】

24時間電話可能のSOSダイヤル。少年相談窓口などの情報もある。

電話番号0120-0-78310
ホームページ子供(こども)のSOSの相談窓口(そうだんまどぐち)(文部科学省)

【子どもの人権110番(法務省)】

法務局・地方法務局の職員、または人権擁護委員が話を聞き、一緒に解決策を考えてくれる。相談は無料で、相談内容の秘密は厳守。

電話番号0120-007-110
実施日時平日午前8時30分〜午後5時15分
ホームページ子どもの人権110番(法務省)

なお、厚生労働省の公式HPでは、子供向けの電話相談窓口以外にも、「いのちSOS」や「よりそいホットライン」、「いのちの電話」、「こころの健康相談統一ダイヤル」なども紹介されています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 政府は11月22日、子どもと関わる職に就く人の性犯罪歴を確認する新制度「日本版DBS」の導入に向け、…
  2. 「子どもの適切な睡眠時間とは?とくに幼稚園児について」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
    睡眠はとても重要です。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本は先進国の中で、睡眠時間が最も…
  3. 2024年1月、日本の主要な電力会社5社の電気料金が値上がりすることが予想されています。この電気料金…

過去よく見られている記事

  1. 新宿矯正展

    2023-8-30

    新宿矯正展とは?刑務所で作られた製品が多数販売!主催の府中刑務所についても紹介

    2023年8月3日(木)〜9日(水)にかけて、およそ3年ぶりに新宿矯正展が開催されました。現地の様子…
  2. 青森刑務所内で開催された受刑者向け慰問活動『えんぶり』と観覧する受刑者たち

    2023-8-28

    青森刑務所内で4年ぶりに受刑者向け慰問活動『えんぶり』が開催

    2023年7月26日(水)青森刑務所内の講堂にて行われた八戸朳(えんぶり)研賛会による『えんぶり』と…
  3. 2023-4-11

    30〜70歳代の貯蓄ゼロが約2〜3割 貯蓄を増やすための効果的な節約術とは

    金融広報中央委員会は2023年2月、「家計の金融行動に関する世論調査2022年(二人以上世帯調査)」…

【結果】コンテスト

東京報道新聞第3回ライティングコンテスト (結果発表)

インタビュー

  1. 柳沢有紀夫氏|海外書き人クラブのお世話係
    『海外書き人クラブ』という世界各国で活躍する日本人ライター集団のお世話係として活動する柳沢有紀夫氏。…
  2. 演歌歌手・琴けい子
    演歌歌手生活40年を越えた琴けい子氏が、デビュー当時から精力的に行っているのが全国の刑務所を巡るボラ…
  3. 寺田真理子
    メンタルヘルスの問題に悩む人は多い。一見すると万事順調に見える人がうつ病を経験していることも珍しくな…
ページ上部へ戻る