セブン&アイが井阪社長ら続投の人事案を発表 米投資ファンドと対立か

セブン&アイ・ホールディングスは18日、5月25日に行われる定時株主総会に向け、取締役選任案を公表しました。井阪隆一社長ら現職13人に新任の上場企業役員ら2人を加えた15人を候補とし、現職の伊藤邦雄社外取締役は退任となります。

米投資ファンドのバリューアクト・キャピタルは、井阪社長ら4人の退任を求める株主提案を行いましたが、セブン&アイ・ホールディングスはその意見に反対し、対立の構図となりました。

バリューアクト・キャピタルの株主提案は井阪社長ら4人を外し、新たに自社の部門責任者ら4人を入れた14人の選任を求める内容で、井阪社長らを「株主利益よりもコングロマリット(複合企業)体制の現状維持と役員としての地位維持を優先した」と批判。引き続き退任を求めていく姿勢を強調しています。

それに対し、セブン&アイ・ホールディングスは「最適な体制であると確信している」と反発し、その上で「当社の変革を妨げ、長期的な企業価値創造の機会を逸失させる可能性がある。取締役候補のうち3人は食品・小売業界の経験がない」と指摘しました。バリューアクト・キャピタルから受けた9つの質問に対しても、「その前提となる認識が事実と異なる」と主張しています。

そしてバリューアクト・キャピタルは18日、セブン&アイ・ホールディングスの発表を受け、「不本意ながら根本的な原因を解決する株主提案が必要と結論付けた。新たな取締役会がより優れた価値創出への道を描く経営チームを構築することを支援する」との意見を示しました。

この問題についてネット上では、「大株主が偉いのはわかるけど、流石に無茶苦茶だ」「セブン&アイは株主に負けずに消費者、顧客視点の経営をしてほしい」「日本とアメリカのやり方の違いが出ている」などの意見が寄せられています。

イトーヨーカドーを分割・売却し、セブンイレブンに注力すべき

物言う株主であるバリューアクト・キャピタルは、以前よりイトーヨーカドーの分割・売却を求めています。提案を実施すれば、純利益は中期経営計画の1.4倍超、株価は1.85倍超になると訴えました。

この影響を受け、セブン&アイ・ホールディングスはイトーヨーカドーの削減案を発表し、不採算店舗の閉鎖を進めています。対象は33店舗で、今後3年間で現在の約7割、ピーク時の約半分にまで店舗を減らすとのことです。

それに対し、バリューアクト・キャピタルは納得していない様子です。今回、バリューアクト・キャピタルは井阪社長ら4人の退任を求める株主提案を行いましたが、今後もセブン&アイ・ホールディングスにとって不利な要求を続けることが予想されます。5月25日に行われる定時株主総会に注目が集まります。

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