米紙ワシントン・ポストと行ったインタビューにて、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は「(日本人が)100年前の(植民地支配の)歴史のためにひざまずく必要はない」と述べました。
日韓関係にとって未来志向的な発展を目指す考え方ですが、野党は「国を売り飛ばす大統領だ」と批判。韓国の各種SNSでも、この発言が批判を呼んでいます。
尹錫悦氏は6日間の日程で訪米中であり、ワシントン・ポストがこれに合わせて取材を行いました。そのなかで尹錫悦氏は、日韓関係を改善するためには、日本が「100年前の歴史のためにひざまずかなければならない」という考えは受け入れられないとコメント。
韓国のソーシャルメディアとTwitterでは、この発言と「ひざまずかなければならない」というハッシュタグがトレンド入りし、批判とともに注目を浴びました。
このことを受けた大統領府の側近は25日、匿名を条件に取材に応じ、「安保協力が不可欠になるなか、日本がひざまずかなければ関係改善は不可能だという主張は受け入れられない」という意味だったと、尹錫悦氏の発言を改めて説明しています。さらに「50年足らずの不幸な歴史のために、1500年前から続く交流と協力の歴史すべてを無駄にするのは愚かなことだ」と述べました。
なお、尹錫悦氏は3月21日の閣議でも「日本は数十回にわたって歴史問題で反省と謝罪を表明している」と、日韓関係の重要性について熱弁を振るっています。この1件を目にした日本人は、ネット上で「この発言は相当な勇気が必要だったはず」「日本はそれなりに評価をしても良いのでは」「こういう論調は素直に歓迎すればいいと思う」などのコメントが寄せられています。
3月21日の閣議では約20分間にわたって日本について言及
尹錫悦氏は3月21日の閣議にて、およそ20分間にわたって日本について言及し、日韓関係の改善に向けて進める意向を改めて強調しています。尹錫悦氏は野党の非難を念頭に、「韓国社会には排他的民族主義と反日を叫んで政治的利益を得ようとする勢力が存在する」と語りました。
その上で「いま日本との過去を乗り越えなければならない。関係正常化と発展の妨げとなるものを韓国が先に取り除けば日本も応じてくるだろう」と述べています。閣議の冒頭発言としては異例の長さでした。
尹錫悦氏が日韓関係改善の必要性を語ったことで、韓国国内では野党を中心に「屈辱外交」などと、厳しく批判する声が相次いでいます。今後の尹錫悦氏の活動と、韓国国内の反応に注目が集まります。