政府は1日、デジタル技術を活用した司法関連サービス「リーガルテック」に関する新たな指針を公表しました。この指針により、一部の例外を除いた現行のAIを用いた契約書の作成・審査サービスは、「問題ない」と位置付けられています。
リーガルオンテクノロジーズ代表の角田望弁護士は「新しいリーガルテックに企業が挑戦し、利用者が活用しやすい環境が整った」とコメントしています。
司法分野でのデジタル技術導入は増加し、最近ではAIの導入により、事業者間の競争が激化しています。特に、企業の法務部門によるAIの契約書審査支援の利用が進んでおり、業界関係者は「契約書や裁判の準備書面の下書き作成、判例の収集・分析など、AIを活用する範囲が広がってくることが見込まれる」と、今後のAI活用範囲の拡大を予測しています。
AIの契約書審査支援とは、契約書を読み込ませると修正案を提案したり、契約の更新期限を知らせたりするものです。司法分野は、判例や学説などの「文字データ」の蓄積により、AI活用に高い親和性があります。
政府は今後、民事訴訟の全判決文のデジタル化を進める計画で、リーガルテックのさらなる向上が見込まれています。法務省幹部は「国際競争力の向上にもつながる。成長産業の健全な育成に協力していきたい」と述べています。
ネット上では、「今後の士業関連の仕事にはAIが必須だと思う」「リーガルチェックが自動化できれば、イリーガルの対応を抑制できる可能性があるので賛成」などの意見が寄せられています。
業界関係者は「混乱が解消される」と安堵の声
政府が「リーガルテック」に関する新たな指針を公表し、弁護士法に抵触しない範囲が明示されたことで、業界関係者は「混乱が解消される」と安堵の声をあげました。法務省関係者によれば、2022年6月に新規参入する業者からの問い合わせに対し、同省は「違法の可能性がある」と回答したとのことです。
この回答により、既存サービスまで「もしかしたら違法なのでは?」という風評が広がりました。弁護士側からも「無資格のブローカーが法律上のトラブルに関与する余地ができる」という懸念があがっていました。
そこで政府は2023年6月に、改革の一環で「リーガルテック」に関する指針策定を提言。それにより、業界関係者や弁護士が抱える不安を解消することに至りました。今後の司法業界におけるAIの活用方法に注目が集まります。