ダイハツ、認証試験の不正行為により全車種を出荷停止に 国交省が立ち入り検査を実施
ダイハツ工業は、車両の安全性認証試験における不正行為が明るみに出たことを受け、国内外の全車種に関して出荷を停止すると発表しました。この問題について、ダイハツ工業の奥平総一郎社長は「この度は、お客様をはじめ、全てのステークホルダーの皆さまの絶大な信頼を裏切ってしまうようなことになりました。大変申し訳ございませんでした」と謝罪の言葉を述べました。
2023年4月と5月に不正が発覚して以来、第三者委員会による徹底した調査が行われており、その結果として新たに174件の不正行為が確認されたと報告されています。特に注目されるのはエアバッグの作動試験における不正で、衝突時センサーに代わりタイマーで作動するように設定していたことが判明しました。
第三者委員会はこのような不正行為の背景には、過度に厳しい開発スケジュールが原因であると指摘しています。また、ダイハツの経営幹部が、このような不正が起こる可能性に対して未然に防止策を講じなかったことも明らかにしました。
ネット上では、「これ以上悪質で重大な違反はない」「代金を払って納車を待っていた方は特にかわいそう」「かつての三菱以上の不祥事になるかも」などの意見が寄せられています。
国土交通省が立ち入り検査を実施|行政処分の必要性も検討
国土交通省は21日、ダイハツ工業の安全性認証試験での不正行為に関連し、同社本社に対して立ち入り検査を行いました。道路運送車両法に基づき、事情の聴き込みなどをして不正行為が法違反にあたるかどうかを調査し、行政処分の必要性も検討しています。
国土交通省はダイハツが国内で生産中の全27車種について、同社の検証とは別に独自の安全性と環境基準に関する検証を行う予定です。検証が完了するまでの間、ダイハツには出荷を停止するよう指示しています。検証には多くの項目が含まれるため、本格的な検証の開始は2024年1月からとされ、その期間の詳細についてはまだ確定していません。
もし検証の結果、悪質で重大な違反が認められれば、車両の大量生産に必要な国の「型式指定」の取り消し処分が検討される可能性があります。第三者委員会の報告書によると、他社ブランドを含めた64車種のうち、25の試験項目で174件の不正が判明しています。
ダイハツは自社の内部検証に基づき、不正に関わる車両の大半が安全性に問題ないと主張しています。しかし、「キャスト」とトヨタブランドの「ピクシスジョイ」に関しては、ドアロックに関する問題があることが判明し、保安基準に適合していない可能性があるためさらなる検証が進行中です。