東京株式市場で楽天グループの株価低下が目立っています。後場に株価が急落し、前営業日と比べて9.05%安で取引を終えました。通信社ロイターによると、公募増資に向けて最終調整しているとのことです。
株価の低下は一時11.5%安まで下落するほどで、1株利益の希薄化懸念が意識されています。5月15日時点では、公募増資は3,000億円程度を想定していますが、株価の変動に応じて変わる可能性もあります。週内に取締役会を開き、決定を急ぐとのことです。
また公募増資に加え、第三者割当増資にて会長である三木谷浩史氏の資産管理会社なども資産を出します。専門家からは、「報道ベースではあるが、現状の時価総額や希薄化を考慮すると、株価はもう一段下落してもおかしくない」との声もあがっています。
なお、調達した資金は携帯電話の基地局整備や社債の償還資金にまわすとのことです。4月の楽天銀行上場で大きな利益を計上し、西友株による220億円の売却まで発表していますが、携帯電話事業による先行投資が足を引っ張っています。
また基地局建設のために発行した社債や劣後債残高は9,000億円にまで膨れており、2024年だけで3,000億円程度の社債償還を迎えるとのこと。ネット上では、「この増資は怖い」「だんだん赤字は減っているので、このまま行けばよい」「もう株主利益とか考えていられない状況なんだろうな」「楽天モバイルがとにかく、ダメ」など、さまざまな意見が寄せられています。
楽天グループは連結決算で825億円の赤字を発表
楽天グループは12日、2023年1〜3月期連結決算(国際会計基準)を発表しました。それによると、最終損益は825億円の赤字でした。
前年同期は918億円の赤字であり、多少の赤字幅縮小は見られましたが、いずれにしても携帯電話事業の設備建設費用が重荷となっています。同期間では4年連続の赤字となりました。
なお、営業損益は761億円の赤字で、前年同期は1,131億円の赤字なので、こちらも減少傾向にあります。携帯電話事業の営業赤字は1,026億円(前年同期の赤字は1,323億円)です。
携帯電話事業の赤字幅は大きいですが、旅行予約やネット通販などのインターネットサービス事業が好調でした。今後も楽天グループの動向を追っていきます。