米Appleが始めた預金サービス「アップル銀行」が話題を集めています。Appleは現地時間17日、年利4.15%という高金利の預金サービスを開始しました。
自社のクレジットカード「Apple Card」を所有しているユーザー向けのサービスで、手数料や最低残高などの要件がありません。Apple単体で始めた預金サービスではなく、米金融大手のゴールドマン・サックスと提携する形で提供しています。
米国だけでもiPhoneの利用者は1億人以上であり、預金利回りは全米貯蓄口座の10倍以上なので、米国を中心に「アップル銀行」がいま注目されています。シリコンバレー銀行などの金融大手が経営破綻に陥っているなか、Appleはサービス開始後4日間で9億9,000万ドル(約1,350億円)を集めたとのことです。
まだ日本では提供されていませんが、iPhoneの使用率が非常に高いことから、今後上陸する可能性は十分にあります。「アップル銀行」が日本に上陸した場合、多くのAppleユーザーが喜びの声をあげるでしょう。
「アップル銀行」が日本に上陸すると銀行業界が弱体化する
多くのAppleユーザーが「アップル銀行」を求めていますが、経営的に安泰ではない地域銀行がいくつもあることから、地銀離れがさらに加速し、経営不安につながる可能性があります。1つの地銀が経営不安を抱えると、それがほかの銀行にも連鎖し、複数の銀行が経営破綻に陥るリスクが懸念されます。
また、「アップル銀行」が日本に来ればAppleユーザーのニーズを満たすことにつながりますが、金融は国や地域によって規制が存在するため、ニーズがあるからといって簡単に参入できるわけではありません。日本の銀行業界を弱体化させる危険性があることから、日本の金融当局が圧力をかける可能性も考えられます。
とはいえ、国際電気通信連合(ITU)が発表した2021年におけるスマホの普及率は、日本は163%、中国は121%を超えています。またStatCounterが公表した「日本のモバイルベンダー市場シェア 2023年4月」によると、日本ではAppleユーザーが全体の約7割を占めており、多くのユーザーにニーズがあることも事実です。
ネット上では、「金融危機どころか国民にとっては天国だろう」「預けると利子どころか手数料でマイナスになる日本の銀行はおかしい」「銀行界の黒船といった存在だ」などの意見が寄せられています。今後のAppleの動向に注目が集まります。