「マンション節税」という節税手法を防ぐため、国税庁が相続税の計算ルールの見直しに踏み切ることを明らかにしました。遺産相続時における不動産の価値は、現状では国税庁が公表する「路線価」を基準に決定されています。
そもそもマンション節税とは、タワーマンションなどを購入して遺産相続する際の節税対策のことです。タワーマンションなど一戸当たりの土地持ち分が小さい場合、課税額が市場価格を大きく下回るケースが見受けられており、富裕層の間で節税対策として活用されることがよくありました。
国税庁はこのマンション節税に着目し、現状の計算ルールを見直す方針を固めたのです。新たに検討されているルールは、築年数や部屋の階数などから評価額と市場価格の乖離度を算出し、その結果を基に評価額を市場価格に近づけるというものです。
そのため、高層階ほど相続税が増える可能性があるとされています。この新ルールは2024年1月からの適用を目指しており、今後の詳細な議論が待たれます。
ネット上では、「政府は何か勘違いしている」「路線価格を上げて、固定資産税を実売時価に見合った価格にしたら問題解決でしょう」「そもそも税金が高いのが問題」などの声があがっています。
マンション節税の仕組み|新ルールでどう変わるのか
マンション節税は、遺産相続税の節税対策の1つとして用いられてきた手法です。具体的には、タワーマンションなどの価値ある不動産を購入し、その価値を低く評価させることで、相続税の額を減らすというものです。
過去においては、不動産の価値は市場価格ではなく、国税庁が公表する路線価などに基づいて評価されていました。路線価は相続や贈与のときに利用するだけでなく、土地の現在価値を把握する際の目安にもなります。
タワーマンションのように部屋の数が多く、一戸当たりの土地の持ち分が小さいケースでは、市場価格を大きく下回る価値が課税の対象となり、これがマンション節税の原理でした。
しかし、国税庁が現状の計算ルールを見直し、評価額の算出方法が変更されれば、これまでのマンション節税が無効になる可能性があります。
今回、政府から発表された相続税の計算ルールの見直しについては、不動産投資の常識が覆る可能性を秘めていることから、業界に激震が走りました。これからの国税庁の動向に注目が集まります。