福島第一原発事故の影響による日本産食品に対する規制を、欧州連合(EU)が完全撤廃する方向で動いています。EU関係者の情報によれば、これらの調整は岸田首相の7月13日のEU訪問前に、加盟国の承認を取り付けたい考えであるとのことです。
EUは現在、福島県産の水産物等に規制をかけていますが、EU加盟国の承認が得られれば、放射性物質の検査は今夏から不要となる見込みです。これについて、現在ブリュッセルで開かれているEU首脳会議で協議が行われていると予想されます。
EU内では、福島県産に対する規制に慎重な意見が強かったものの、日本とEUの関係強化の流れに乗じて、EUの執行機関・欧州委員会は完全撤廃を推進しています。福島県産食品の輸出が推進されることは、日本とEUの交流にとって大きな一歩になると言えるでしょう。
ネット上では、「こうして福島県産の水産物などへの不安が晴れていくことはありがたい話だと思う」「日本にとっては有難いのだけれど、何分円が安い」などの意見が寄せられています。
食品輸入規制撤廃に向けた外務省の取り組み内容
2011年3月に起きた東京電力・福島第一原子力発電所事故以降、55カ国・地域が日本産食品などに対する輸入規制措置を導入しました。その規制を維持する国・地域に対し、外務省は規制緩和を訴えた働きを実施しています。
具体的には、会談や国際会議など、さまざまな外交機会を活用して総理・大臣が直接働きかけているほか、関係省庁と連携し、東京にて在京の各国大使に働きかけるなどが挙げられます。
また、日本の食品の安全性確保の取り組みを説明。例えば、国際的に比較しても極めて厳しい基準値を設定し検査を実施している、適切な食品モニタリングを行っている、などの内容がこれに該当します。
外務省が公表した「東日本大震災後の食品輸入規制撤廃に向けた最近の外務省の取組」によると、2023年3月時点で43カ国・地域が完全撤廃、そのほか11カ国・地域で緩和を行っているとのことです。なお、原子力災害による風評被害を含む影響に対する主な取り組みは以下の通りです。
- 知ってもらう:輸入規制の撤廃・緩和に向けた「草の根」からの働きかけ
- 食べてもらう:被災地産品等の利用・販売促進
- 来てもらう:観光地の魅力や安全・安心を海外主要テレビ局などでアピール
外務省によるこれらの取り組みがあり、今回EUは日本産食品の輸入規制を完全撤廃する方向へと動きました。今後の外務省による取り組みと、EUによる規制撤廃の動きに注目が集まります。