米食品医薬品局(FDA)は6日、エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式承認しました。これにより、米国内での保険適用範囲が広がる可能性があります。
新型アルツハイマー病治療薬のレカネマブ(一般名、米国ブランド名:「LEQEMBI®」)は、「アミロイドベータ」というタンパク質を除去するために設計された抗体医薬品です。レカネマブの臨床試験では、早期段階の患者で病気の進行を27%遅らせる効果が確認されています。
2023年1月、米国では迅速承認制度の下で認可を受け、市場に登場しました。FDAは1月に迅速承認しましたが、米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」は保険適用を治験参加者に限定していました。
その後、レカネマブは早期段階の治療に有用であることが後期臨床試験で確認され、FDAの諮問委員会は完全承認するよう勧告。正式承認されたことを受け、メディケア・メディケイド・サービスセンターのチキータ・ブルックスラシュール長官は、レカネマブの広範な保険適用を進める方針を示したのです。
エーザイは、米国においてレカネマブが発売後3年間で、米国の10万人の患者に使用されると予想しています。米国での価格は、年間2万6,500ドルに設定されました。
レカネマブは日本や欧州でも承認される見通し
今回、7月6日にレカネマブが米国で正式承認されましたが、今後は日本や欧州でも承認される見通しが立っています。日本や欧州でも承認に向けた申請が行われており、日本では遅くても9月までに承認される見通しです。
エーザイは米国以外で日本、欧州、中国、カナダ、英国、韓国でレカネマブの承認を申請しており、日本と中国では優先審査の対象に指定されています。また、エーザイはFDAの正式承認による2024年3月期の業績予想への影響は少なく、公表済みの予想に変更はないと発表しました。
エーザイの内藤晴夫最高経営責任者は、7日に東京の本社で記者会見を行い、そこでは「アルツハイマー病の根本病理に関わる治療薬を米国に届けられる。万感胸に迫る思いだ」と語りました。
従来の症状を一時的に和らげる薬とは異なる可能性があるとして、新薬への期待が高まっています。ネット上では、「ホントに待ちに待った新薬」「レカネマブの正式な承認は大きな希望」「当事者や家族にとっては本当に希望の光」などの声があがっています。