総務省が発表した2023年6月分の「消費者物価指数」によると、総合指数は2020年を100として105.2となり、前年同月より3.3%上昇しました。これは、電気代の値上げと食品価格の上昇によるもので、上昇率は5月から0.1ポイント上がり、2ヶ月ぶりの拡大となります。
一方で、食品の価格上昇はすでに22ヶ月連続となり、品目別では、生鮮食品を除いた食料品が9.2%上がりました。特に卵の値段が高止まりしており、35.7%の上昇、豚肉は9.4%、食用油は16.5%上がっています。
電気代に関しては、東京電力などの7大電力会社が家庭向けの規制料金を値上げした影響で、前月比6.2%上昇しました。それでも政府の補助金の効果により、前年同月比では12.4%の下落となりました。同じく、都市ガス代も2.8%下がり、1年9ヶ月ぶりに下落の動きを見せています。
政府は今年度の消費者物価上昇率を総合指数で2.6%と見込んでいますが、6月の結果は3.3%と、米国を8年ぶりに上回りました。輸入物価が下落傾向にあることから、今後の価格伸びは緩やかになると予想されますが、10月にかけて値上げを発表している会社がすでに多くあります。
電気代が大幅に値上がりしている原因
1995年から始まった「電力システム改革」の一部として、電力の小売部門に関する「自由料金」という契約メニューが導入されました。電力の自由化は2016年に全面的に進行し、一般家庭でも自由料金を選択可能になりました。
電力の自由化以降、多くの企業が電力の小売事業に参入し、自由料金メニューによる電気の販売を開始。これらの自由料金は従来の規制料金を下回る価格で提供され、電気代減少の兆しとなりました。
しかし、2022年に大きな問題が発生しました。それは、世界的な燃料価格の急激な高騰です。ロシアのウクライナ侵攻による禁輸措置や新興国のエネルギー需要増加といった要因が重なり、日本の燃料輸入価格が大幅に上昇しました。
その影響を受けて、東京電力、北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力は、2023年6月1日から電気料金を値上げすることを決定。物価の上昇もあり、総合指数が前年同月より3.3%上昇しています。
このように、電気価格は多くの要因によって変動しています。今後の電力市場の動向に注目が集まります。