
国立がん研究センターが3月28日、教育と健康の関連性に関する驚きの研究結果を発表しました。この研究では、就学期間が短い人ほど死亡率が高いという事実が明らかになりました。
具体的には、中卒者の死亡率が大卒者の約1.4倍に上るという結果が出たのです。しかし、研究グループは、教育歴が直接死亡率を左右するわけではなく、むしろ生活習慣の違いが大きな影響を与えていると指摘しています。
この研究は、2010年の国勢調査とその後5年間の人口動態統計を基に、約800万人分のデータと約33万人分の死亡票を分析して行われました。その結果、大学以上の教育を受けた人と比較して、高卒者の死亡率は約1.2倍、特に中卒者では約1.4倍も高くなっていることが判明しました。
死亡率に差が出る主な疾患は、脳血管疾患や肺がん、虚血性心疾患、胃がんなどで、教育水準が低い人ほどこれらの疾患で亡くなる可能性が高いとされています。一方で、乳がんに関しては、教育期間が長い女性の方が死亡率が高く、妊娠・出産歴の少なさなどが影響している可能性が示唆されています。
この研究結果は、教育が健康に及ぼす影響の理解を深め、将来の公衆衛生政策に重要な示唆を与えるものです。生活習慣の改善や健康リスクの啓発により、教育水準に関わらず全ての人々の健康を守ることが今後の課題となりそうです。
ネット上では、「生活水準や健康意識とそこに気を使う余裕の有無なんだろうな」「AIが時代を切り開く世界になってきたんだから、何でもデータだして数字で良し悪しを語れる時代になって欲しい」「確かに中学の同窓会やれば学歴が低いと、やつれた感じとか老けた感じがします」などの意見が寄せられています。
学歴によって喫煙率や肥満率にも顕著な差が 約30%の違い
学歴が高いほど健康意識も高く、病気の発症率が低いことが、医療専門誌記者の指摘によっても明らかになりました。生活習慣の違いも学歴によって大きく異なり、特に喫煙率や肥満率では顕著な差が見られます。
中卒者の喫煙率は57.8%に対し、大卒以上では27.8%と大きく低下し、肥満率も高卒未満が21.6%であるのに対して、大卒はわずか9.6%です。健康格差の背後には所得の違いがあり、経済的余裕が健康への投資に直結していることが推測されます。
学歴が高いほど所得も多く、それが高学歴者の長寿に繋がっていると考えられます。国立がん研究センターによると、学歴による死亡率の格差は脳血管疾患や肺がんなどで特に大きく、男女ともに類似した傾向が見られますが、一部疾患では順位が異なります。
海外の例を見ると、死亡率の格差が2倍を超える国もありますが、日本ではそこまでの開きはありません。しかし、現状の格差も看過できるものではなく、健康への意識と生活習慣の改善が長生きの秘訣となるでしょう。