4〜6月期の実質GDPが前期比年率で6.0%の増加を示し、3四半期連続のプラスとなりました。この成長は、2020年10〜12月期の7.9%増以来の大きな伸びとなります。
内需の動きは弱かったものの、輸出の3.2%増と輸入の4.3%減が成長率を押し上げる要因となっています。市場の予測は2.9%の増加であり、この結果はそれを大幅に上回るものとなりました。一方、個人消費は0.5%減と5期ぶりのマイナスで、設備投資は横ばいでした。
実質GDPの年率換算値は560兆7,000億円に達しており、これは過去最高の数字となります。外需が1.8ポイントのプラスに寄与したのに対し、内需はマイナス0.3ポイントとなりました。
一方、2019年から見て3期連続でプラスの成長が続いており、新型コロナウイルス発生前の水準を超える結果となりました。しかし、物価の上昇に賃金が追いつかない中、GDPの大部分を占める個人消費の動きは弱まっています。
S&Pグローバルマーケットインテリジェンスの田口はるみ主席エコノミストは、純輸出の「増加は一時的」と指摘しました。さらに、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は「方向として良くなってきている」と述べたものの、「これだけいい数字が出ると次はマイナス成長になりやすいので、政策的には難しいかじ取りになるだろう」とも語っています。
ネット上では、「GDP増は内容がどうあれ、適切に対処できれば基本的には良い事」「確かにお給料は微増しました」「大輸出企業は儲かり国民は疲弊です」などの意見が寄せられています。
個人消費の減少を招いている深刻な物価上昇
労働者の賃金は年々上昇していますが、物価の上昇にその金額が追いついていません。6月の実質賃金は1.6%減少し、15ヶ月連続でマイナスとなりました。
これには物価の上昇が大きく影響しており、値上げラッシュは8月になってからも続いています。帝国データバンクによると、8月は食品主要195社が値上げ予定で、食品はパック牛乳やヨーグルトなど乳製品のほか、だし製品や調味料などを含めた合計1,102品目の値上げが行われるとのことです。
一方で、7ヶ月ぶりに前年から値上げの品目数が減少していることから、値上げラッシュは今後少しずつ弱まる可能性があります。とはいえ、ウクライナ産小麦の動向、電気・ガス料金の負担軽減策など、先行きが不透明な要素も多く、2024年以降も継続的な値上げが予想されています。