フィリピン拠点の特殊詐欺グループ「かけ子」に懲役3年の実刑判決 「後悔している」

2022年、一連の広域強盗事件で「ルフィ」と名乗る人物が関与したとみられる特殊詐欺事件が発生しました。そのフィリピンを拠点とする特殊詐欺グループで、「かけ子」として働いていた山田李沙被告(27)に対し、高齢者からクレジットカードを盗み、現金を引き出した罪で、東京地裁は懲役3年の実刑判決を言い渡しました。

山田李沙被告は、「ハオ」などと呼ばれていた渡辺優樹被告(39)のもとで「かけ子」として活動していたとされ、「協力したことは間違いない」と起訴内容を認めています。また、X(旧:Twitter)上の闇バイト募集をきっかけにグループ入りしたと明かしましたが、脅迫により帰国が困難になったという経緯も語りました。

その上で山田李沙被告は、「強制的に働かされ、病院にもいけず、後悔している」「努力してきれいなお金で被害弁済したい」などと述べました。その一方で、狛江の強盗致死事件など、一連の広域強盗事件には関与していないことを強調しています。

検察側は懲役4年6ヶ月を求刑しましたが、弁護側は「グループは知事にまで金銭を送る影響力で被告らを隷従させ、支配していた。助けを求めたら殺されかねない環境で、かけ子をせざるを得なかった」と指摘していました。

東京地裁は懲役3年の実刑判決を言い渡した理由について、「犯罪の分け前を得るために自らフィリピンへ渡航までして犯罪組織に加わったと認められるから、後に抜けたいのに抜けられない状況に陥ったとしても、あまり同情できない」と説明しています。

佐藤翔平被告の初公判 起訴内容を認める

フィリピンを拠点とした特殊詐欺事件で、窃盗の罪に問われている佐藤翔平被告の初公判が開かれました。その窃盗の罪に対し、佐藤翔平被告は起訴内容を認めています。

仲間と共に高齢者からキャッシュカードを窃盗し、約660万円を不正に引き出した罪に問われています。検察側は、佐藤翔平被告が詐欺グループの「かけ子」のリーダーとして、電話のかけ方を教えていたほか、だました金を受け取る「受け子」たちに指示を行っていたと指摘しました。

この一連の特殊詐欺事件について、ネット上では「人生をかけて築いた財産をだまし取るこの卑劣な行為、ニュースを聞く度に腹立たしい思いがこみ上げてきます」「こんな軽い判決は詐欺グループの増大を招くだけと断言できます」「裁判所のこれまでの判例の厳しさを考えると妥当な判決だと思う」などの意見が寄せられています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 米国のテクノロジー大手Googleは8日、生命活動の核心をなすたんぱく質やDNA、RNAなどの分子構…
  2. ピアニストのフジコ・ヘミング氏が4月21日、膵臓がんのため92歳でこの世を去りました。リストの難曲『…
  3. 米テスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏は23日、投資家向けの電話会議で開発中のヒ…

おすすめ記事

  1. 「薬物乱用防止教室」の講義で講師をする元千葉県警・警部補、一般社団法人日本刑事技術協会の上級コンサルタントの森雅人氏

    2024-4-22

    「ダメ、絶対!」元千葉県警刑事の森雅人氏が高校生向けに薬物の危険性について講義を実施

    元千葉県警・警部補であり、現在は一般社団法人日本刑事技術協会の上級コンサルタントとして活躍する森雅人…
  2. 上空から見た羽田空港(空撮)

    2024-4-15

    羽田空港の航空保安施設が支える快適な空の旅。安全運航の裏側にせまる

    日本と世界を結ぶ玄関口である羽田空港。今回は、航空機を安全に飛ばすために必要な様々な施設の中から、対…
  3. 東京報道新聞が法務大臣から拝受した感謝状(2024年2月)

    2024-3-6

    法務大臣感謝状を拝受しました(更生保護事業への取り組みについて)

    2024年2月19日、株式会社東京報道新聞社は、法務大臣感謝状を拝受。法務大臣からの感謝状とは、「社…

【募集中】コンテスト

第5回ライティングコンテスト(東京報道新聞)

【結果】コンテスト

東京報道新聞第4回ライティングコンテスト (結果発表)

インタビュー

  1. ゴミ収集車の死亡事故による呼び捨てでの実名報道で訴訟を起こした品野隆史氏
    現在メディアでは、事件に関して疑いのある人の実名報道では「容疑者」を呼称でつけていますが、1989年…
  2. 青森県で協力雇用主として出所者の社会復帰を目指して雇用する企業「有限会社松竹梅造園」代表の渡辺精一様
    協力雇用主とは、犯罪や非行をした者の自立や社会復帰に向けて事情を理解したうえで就職先として受け入れる…
  3. 青森刑務所で受刑者に講話を行った受刑者等専用の求人誌「Chance!!」編集長・三宅晶子氏
    三宅晶子氏(株式会社ヒューマン・コメディの代表取締役)は、日本初の受刑者等専用求人誌「Chance!…
ページ上部へ戻る