岸田首相は、最低賃金を2030年代半ばまでに、時給1,500円へと引き上げることを新たな目的として掲げました。この表明は、31日に総理大臣官邸で行われた「新しい資本主義実現会議」で発表されました。
岸田首相は会議の中で、エネルギーや食料品価格の上昇を考慮し、「最低賃金審議会で毎年の賃上げ額についてしっかりとご議論をいただき、その積み上げにより、2030年代半ばまでに全国加重平均が1,500円となることを目指してまいります」とコメント。
また、「エネルギーや食料品価格が高騰する中、内需主導の経済成長を実現していくためには、『賃上げが当たり前となる経済』や投資促進がカギになる」と強調しています。
さらに、今年10月より全国平均で時給が1,000円を超える最低賃金についても言及しており、その上昇傾向を維持し、「さらに着実に賃上げを行っていく必要がある」と語りました。会議内では中小企業を対象とした賃上げ支援策として、特定の条件を満たす企業への補助金増額の提案も議論されました。
ネット上では、「2030年代半ばまでって、さすがに遅すぎでは?」「最低時給だけあげても何の解決にもなりません」「最低賃金を上げても、それは経済効果には結びつかないでしょうね」などの意見があがっています。
2023年度の全国最高時給は東京都の1,113円
2023年度における全都道府県の最低賃金が確定しました。特に注目を集める東京都では、昨年度より41円増額し、全国で最も高い1,113円となりました。
この最低賃金は、10月より施行される予定です。厚生労働省によれば、全国平均は1,004円となり、初めて1,000円の大台を超えることとなりました。
最低金額は岩手県の893円で、東京都との差は220円となり、地域格差の存在が浮き彫りとなっています。首都圏、特に東京都は住宅費や食料の価格が高騰しており、地域ごとの生活コストの違いを考慮し、公平性を確保する目的で差額が設けられています。
しかし、地方の生活では複数台の車を持つ家庭も多く、ガソリン代の増加等の問題も指摘されています。浜銀総合研究所の遠藤裕基氏は「地方の引き上げ幅を高めにするなど、東京との不公平感に配慮すべきだ」と指摘し、その上で「企業が賃上げに耐えられなければ倒産や失業者が増える恐れもある。企業が雇用を減らすリスクがないかしっかり注視する必要がある」と続けました。