ソフトバンクグループは5日、傘下の英半導体設計の大手であるアームが今月中の株式新規公開(IPO)について、米預託証券の公開価格の仮条件を47~51ドルに設定していることを発表しました。これにより、アームの時価総額は約520億ドル(約7兆7,000億円)に達する見通しです。
新規公開後、株式の90.6%は引き続きソフトバンクグループが所有します。仮条件に基づく計算では、調達額は約50億ドルとなり、具体的な価格や売り出しの数は後日、市場の需要を考慮して決定される予定です。
2期連続で大幅な赤字を出しているソフトバンクグループにとって、アームの上場は非常に意義深いものだとされています。新たな資金調達を利用し、半導体関連の投資の拡大を進める計画です。
この件についてネット上では、「アームの可能性をみて投資したのはさすがといえる」「ソフトバンクグループの狙い通りでも公開時価格より下がっていく可能性は高い」「孫さんはある意味この時代の怪物だよな」などの意見が寄せられています。
アームという企業|事業概要と市場戦略
アームは、半導体の中心的部品の設計、ライセンス供与を手掛ける英国最大のテクノロジー企業です。3月31日に終了した前会計年度の売上高は26億8,000万ドルを記録しました。
ソフトバンクグループは、2016年にアームを320億ドルで買収しました。孫正義氏はアームの将来性に期待しており、半導体業界の歴史上「最大」の上場にしたいと語っています。
アームはデータセンター向けの新しい顧客の獲得を戦略の中心に据え、停滞するスマートフォン市場への依存度を下げています。また、データセンター分野での自社製品が適切であるとアームは強調しました。
アームの主要な顧客としては、AmazonやSamsung、Appleなどが知られています。毎年販売される約14億台のスマートフォンのうち、99%以上がアームの技術を採用しています。アームは半導体業界において高い収益性を誇っているのです。
また業界でのアームの戦略的重要性は、計り知れないものがあります。従業員数は約6,000人と小規模にも関わらず、業界全体への影響力が大きく、アームは「近い将来、世界のデジタルデータの100%がアームの技術を通じて処理されるであろう」と予測しています。今後のアームの動向に注目が集まります。