暴風雨の影響を受け、ダムが決壊するなどでリビアの被害が拡大しています。洪水により7,200人が命を失い、さらに1万人が行方不明となっていることが報告されています。
行方不明者の詳細については、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)が公開しており、想定される死者数に関する情報は、東部に拠点を置く政権の内務省、東部デルナのアブドルメナイム・ガイシー市長が公表しました。
リビアの北東部に位置する地域では、大雨により2つのダムが壊れ、大規模な洪水が発生しました。北東部トブルクの当局によれば、死亡者のうち少なくとも145人がエジプト人であるとのことです。
また、リビア東部を支配する政権のアブドゥルジャリル保健相は地元テレビへのインタビューで、「ダムの水が流れ込んで大きな被害が発生している。東部デルナでは6,000人の行方がわからない」とコメントしています。アブドゥルジャリル氏は11日にデルナ市を訪れ、状況は「壊滅的」と述べました。
ネット上では、「ただでさえ紛争などの対立が続いている中でこれは災難ですね」「ひとりでも多くの方々が助かります様に」「多くの尊い命が失われて、とても悲しいです」などの意見が寄せられています。
デルナ市内では完全に水で覆われているエリアも
デルナ市内においては、いくつかのエリアが完全に水で覆われている状況です。デルナの病院は現在機能しておらず、遺体安置所はすでに満杯となり、遺体が施設の外に置かれているとのことです。
ボランティアで参加しているデルナの医師は、「人々は現在、腐敗しつつある遺体の回収を行っている」と述べています。通信網が不通になっていると見られる中、洪水の映像を目の当たりにし、デルナの住民の家族たちは不安を抱えています。
この困難な状況に対応すべく、多くの国や団体から援助の申し出が寄せられています。12日には、救援物資を載せたトルコの航空機がリビアに到着しました。イタリアも、救助活動を支援するチームの派遣を発表しています。
アブドルメナイム・ガイシー市長は、遺体の収容に当たる要員が不足しているとし、「多数の死者で感染症が起きないか危惧している」とコメントしました。
デルナの人口は約10万人です。現在のリビアの状況を背景に、2つの政権が10年以上にわたって権力闘争を展開していることが指摘されています。