
米国のテクノロジー企業Googleは19日、生成人工知能「Bard(バード)」と電子メールサービス「Gmail」を連携させると発表しました。これにより、受信したメールの内容を簡潔に要約するなどの新機能が利用できます。
同日、Googleは「バード・エクステンション」をリリースしました。Gmailだけでなく、文書作成サービスのドックスやYouTubeなどとも連携します。しかし、当面は英語を使用する利用者に限られ、日本語への対応時期は現段階では不明です。
Bardを使用して「小学校から受信したメールの内容をまとめて」と入力すれば、Gmailから関連する内容を抜粋し要約します。新しく購入したチャイルドシートの使い方がわからない場合は、Bardに画像を入力すると関連するYouTube動画を表示してくれます。
Bardの機能は英語のみならず、40以上の言語で利用可能になりました。また、多言語対応と画像を用いた質問機能により、利用者はより豊かな情報アクセスを享受できるようになります。
ネット上では、「便利になるのは嬉しいこと」「情報漏えいのリスクがある」など、賛否の意見が寄せられています。
CEO「当社には利用者が5億人を上回るサービスが15個ある」
OpenAIが2022年11月に「ChatGPT」の提供を始めたことで、生成AIの人気に火が付きました。これに対抗して、Googleも2023年3月にBardをリリース。
初期段階では英語のみに対応していましたが、40言語以上に展開する方針が発表され、現在は日本語もサポートされています。
Google及びGoogleの親会社であるAlphabetの最高経営責任者スンダー・ピチャイ氏は、「当社には利用者が5億人を上回るサービスが15個ある」と明言し、同社の既存サービスを活用して生成AIを普及させる意向を示していました。
今回、新機能であるバード・エクステンションを提供することで、この戦略がより現実的なものとなりました。しかし、生成AIの利便性が高まるにつれ、プライバシー侵害や誤情報の拡散といった懸念が浮上しています。
これについて、Bardのディレクターを務めるユーリー・ピンスキー氏は、「Gmailなどの内容を人間のレビュー者が閲覧したり、広告表示やAIの学習に使ったりすることはない」と語っています。
Googleはユーザーが生成AIの情報の正確性を確かめる手段として、同社の検索サービスとの組み合わせも提案しています。英語版のBardで質問すると、回答に加えて検索サービスを利用するためのアイコンが表示され、関連するサイトを閲覧できるようになりました。今後の新サービスの展開に期待が高まります。