米司法省は24日、世界最大の検索エンジンを運営する米Googleを、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴しました。同社による「反競争的な行為」が、デジタル広告市場をゆがめたと指摘しています。
ガーランド司法長官は「Googleは、他者を排除する行為によって(デジタル)広告技術分野での競争を著しく弱体化させてきた」と発言。広告に関わる需要と供給を結びつけ、収益につながる同社のデジタル広告事業について、一部を切り離すよう求めています。
また、同社が競合他社の買収や顧客にシステムの利用を強制するなどで市場競争を阻害したと指摘し、「非競争的で違法な行為によって、優位性を脅かす者を排除した」と主張しています。
バイデン政権下でのGoogleの提訴は初めてですが、米司法省は2019年から同社を調査しており、同省による提訴は今回が2回目となります。米司法省は、Googleが拠点を置くカリフォルニア州をはじめとした8つの州とともに、バージニア州の連邦地裁に提訴しました。
提訴のニュースを受けてアルファベット株が一時下落
米司法省がGoogleを提訴したというニュースを受け、24日の米株式市場でGoogleのグループ会社であるアルファベット株が売られ、一時2.5%下落しました。なお、同社における23日までの12ヶ月間の下落率は23%であり、ナスダック100指数をアンダーパフォーム(運用成績が指標を下回る)しています。
競合他社やインターネット広告に関わる事業者は、Googleが広大なネットワークの一部を利用し、競合相手に打撃を与えていると批判してきました。市場調査会社であるeMarketerによると、2023年の米デジタル広告収入はGoogleだけで、約657億ドル(約8兆5,500億円)に達する見込みであるとのことです。これは、米市場全体の約26.5%に相当します。
また検索エンジンの広告収入に加え、動画配信サービスYouTubeが2.9%のシェアを占めていることからも、Googleというサービスが米市場全体に大きな影響を与えていることがわかります。
一方でGoogleは、オンライン広告市場について活発な競争が行われていると反論。同市場での主な競合相手として、AmazonやMicrosoftを挙げています。
なお、ネット上では「強すぎる企業に分割を要求するのは真っ当だ!」「市場で勝ち抜いた企業にこの手の裁判を起こすのはどうなのか?」など、賛否の声があがっています。今後の米司法省とGoogleの動向に注目したいところです。