7日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスの間での衝突がさらにエスカレートしました。事態は、ハマスの戦闘員が越境して街を襲うという前代未聞の展開を見せました。
イスラエル軍がガザへの地上侵攻を検討中であるとの情報もあがっており、双方の争いにより犠牲者を拡大させる恐れが考えられます。
7日早朝、イスラエルの各地では空襲警報のサイレンが鳴り響きました。ガザから直線距離で約80キロのエルサレムでは、数回にわたって警報が確認されています。エルサレム上空では、ガザからのロケット弾が対空防衛システム「アイアン・ドーム」によって迎撃されたとみられ、大きな爆発音とともに白い煙が空を覆いました。
エルサレム中心部で警報を受けて防空壕に避難した弁護士男性(61)は、「エルサレムにガザからロケット弾が飛んできたのは初めて。これから大きな戦争が始まる」と驚きの声をあげています。
さらに7日午後にはエルサレムの街中で、イスラエル軍が招集した予備役兵が次々と駐屯地へ移動している様子が目撃されました。ハマスはロケット弾攻撃をエスカレートさせ、戦闘員による地上襲撃を開始。イスラエル側もこれに対応したことで、交戦の激しさはこれまで以上に増しています。
バイデン米大統領「イスラエルの安全保障に対する支持は揺るぎない」
ハマスが異例の攻撃を展開したのは、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化交渉への「けん制」だと推測されています。また、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の対パレスチナ強硬姿勢も背景としてあげられます。
2007年からガザはハマスの武力制圧を受け、イスラエルによる壁やフェンスの封鎖が続いています。この封鎖の影響で失業率と貧困が増加し、民衆の不満がハマスにも向かっている状況です。
2008年と2021年には、ガザからのロケット弾攻撃を受けてイスラエル軍が反撃。大規模な空爆を行い、多数の死傷者を出しています。今回の事件においても、イスラエル軍のガザ地上侵攻は「必至」とみられており、戦闘の長期化が予測されています。
サウジアラビアとエジプト、トルコは双方に抑制を求める声明を発表しました。バイデン米大統領は、ハマスの攻撃行動を強く非難し、「イスラエルの安全保障に対する支持は揺るぎない」との立場を明確にしました。また、ネタニヤフ氏との電話で「支援の用意がある」と伝えています。
一方で、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師の顧問は「パレスチナの戦士を祝福する」とコメントし、ハマスへの明確な支持を示しました。ネット上では、「戦争はなくならないのだろうか」「戦争と対立がいかに無駄で悲劇的であるかが明らか」「一刻も早く国際的な仲介や調停の努力が行われるべき」などの意見が見られました。