政府は11月22日、子どもと関わる職に就く人の性犯罪歴を確認する新制度「日本版DBS」の導入に向け、加害者の性犯罪歴を照会する期間を「10年超」とする方針を固めました。
子どもの安全を考慮し、刑法が定める「刑の効力を失う」期間よりも長く設定されることになります。政府はこの制度の具体的な年限を詰めた上で、早ければ2024年の通常国会に関連法案を提出する計画です。
こども家庭庁の有識者会議では、DBS制度の対象を裁判所で有罪判決を受けた「前科」者とし、雇用主が性犯罪歴の有無を照会できる期間については「一定の上限を設ける必要がある」との結論に至りましたが、具体的な年限は明記されませんでした。
刑法には禁錮以上の刑を受けた場合、執行後10年で刑の言い渡しの効力が失われると規定されています。元々政府はこの刑法の規定に沿って照会期間を10年とする案を検討していましたが、与党内からは性犯罪者の再犯率の高さを理由に、より長期の照会期間が必要という指摘が相次ぎました。
この新たな制度の導入により、子どもたちの安全と加害者の更生とのバランスを図ることが期待されます。ネット上では、「導入が先送りになり批判もあったが、さらに厳しい条件になって良かったと思う」「一度犯罪を犯した人間の経歴が消えるっておかしいことだと思います」「いや、一生でいいのでは?」などの意見が寄せられています。
こども政策担当相「刑法の規定が直接適用されることにはならない」
子どもと接する職場における従業員の性犯罪歴を確認する新制度「日本版DBS」をめぐり、加藤鮎子こども政策担当相は11月24日に性犯罪歴の照会期間について、「10年などの年数内にすることが必ずしも必要となるわけではない」と述べました。こども家庭庁は10年を超えて参照できるようにする方針です。
新制度では、事業者が従業員の性犯罪歴をデータベースで確認できますが、性犯罪歴がある場合でも「雇用を禁じる」などの厳しい規制は設けられません。代わりに、子どもに関わらない業務への配置転換など、「適切な措置」が求められることになります。
このような点について、加藤鮎子こども政策担当相は「刑法の規定が直接適用されることにはならない」と述べ、10年を超える照会期間の設定が可能であることを裏付けています。新制度が子どもの安全を守る一方で、加害者の更生や社会復帰を考慮したバランスの取れた対応が求められています。