34歳のガブリエル・アタル氏が1月9日、フランスの歴代最年少首相に就任し、新たな時代の幕開けを告げました。この若き首相の誕生は、エマニュエル・マクロン大統領が勢力挽回を図る戦略の一環と見られています。
ガブリエル・アタル氏は公にゲイであることを明らかにしており、LGBTQ団体からは歓迎の声が上がっています。公に同性愛者であることを公表している首相は史上初です。
ガブリエル・アタル氏はパリの裕福な家庭に生まれ、名門校エコール・アルザシエンヌやパリ政治学院で教育を受け、オランド政権下で保健大臣官房に勤務しました。その後、マクロン大統領が創立した政党「前進!」に加わり、2017年に国民議会議員として初当選。29歳で歴代最年少の閣僚となり、教育相を務めた経験もあります。
教育相時代には宗教的標章の着用禁止法に基づき、公立学校でのアバヤ着用を禁止する決定を下しましたが、これは人権侵害だと批判も受けました。国民議会議員としての初期には、政治経験が乏しい与党の新米議員たちの中で弁舌をふるい、注目を集めました。マクロン大統領の忠実な側近としての地位を築き、2027年のフランス大統領選においてマクロン大統領の後継者として立候補する可能性が指摘されています。
ネット上では、「回りの年長者が助言しつつ、活躍して貰ったらいいだろうなと思います」「若いし、ハンサムだし、第一候補になるのでは」「若けりゃ誰でもいいとは言わないが、若手の政治家も絶対必要だと思う」などの意見が寄せられています。
世論調査では首相就任を53%が支持|「ミニ・マクロン」「分身」
ガブリエル・アタル氏はマクロン大統領に似ていることから、「ミニ・マクロン」や「分身」と称されています。マクロン大統領と同様に、極右政党の台頭に対応して移民に厳しい法律を導入しました。
世論調査では、ガブリエル・アタル氏の首相就任を53%が支持しています。大統領の支持率が27%なので、イメージ刷新に十分貢献していると言えるでしょう。ガブリエル・アタル氏は公に同性愛者であり、リベラル主導のLGBT活動家と距離を置く一方で、右派からの支持は得ています。
マクロン与党の幹事長と長くパートナー関係にあり、世間では「30代のパワーカップル」と呼ばれています。フランスは若い指導者を輩出する歴史を持ち、今回の最年少首相就任もその伝統を継承するものとして注目されています。