米国政府は15日、半導体産業の国内強化を目指し、韓国のSamsungに対して大規模な支援を表明しました。この支援には、テキサス州に建設予定の新工場と研究開発拠点に最大64億ドル(約9,800億円)の補助金が含まれています。
半導体供給網のアジア依存を減らすことを目的としており、経済安全保障の観点からも重要だとされています。レモンド米商務長官は、アジアに偏重している現在の供給網が米国の安全保障を脆弱にしていると強調し、この新たな投資が長期的な安定につながると述べました。
Samsungはこの計画に基づき、総額400億ドル(6兆1,000億円)を投じて米国内に先端半導体の総合的な研究・開発・製造拠点を設置する予定です。具体的には、テキサス州テイラーに位置する新工場では、先端2ナノメートル及び4ナノメートルのロジック半導体を製造する予定で、2026年から2027年にかけて生産を開始する見込みです。
また、完成工程の先端設備も2027年に稼働予定で、人工知能(AI)向けの次世代DRAMの開発も進められます。これに加えて、オースティンにある既存の拠点も拡充し、高性能な半導体ウエハーを防衛産業や航空産業向けに安定供給する体制が整います。
米国内での半導体生産強化は、国際的な供給網の多様化と国内技術力の向上を図る重要なステップとされています。4月8日には台湾積体電路製造(TSMC)の新工場に最大66億ドルの補助を、3月にはIntelに最大85億ドルの補助を発表したばかりです。
米国政府、Intelに対して総額195億ドルの財政支援を発表
3月20日、米国政府は経済安全保障を強化するため、Intelに対して最大85億ドル(約1兆2,800億円)の補助金を含む総額195億ドル(約2兆9,400億円)の財政支援を発表しました。この支援は、アリゾナ州とオハイオ州における先端半導体工場の新設プロジェクトを支援するものです。
今後5年間で総投資額が1,000億ドル(約15兆1,000億円)に達する予定であり、ニューメキシコ州での3次元実装に対応する先進パッケージング工場の立ち上げや、オレゴン州での半導体研究開発施設の拡張も含まれます。
この支援策は、「CHIPS and Science Act(CHIPS法)」に基づくもので、米国内での半導体製造能力の向上を図るために設計されました。政府の支援は補助金の提供に加えて、最大110億ドル(約1兆6,600億円)の融資も含まれており、Intelはこの資金を活用して、国内での半導体供給能力を強化する見通しです。