市場および消費者データを専門とするドイツの「Statista」が、富裕層上位1%を占める富の割合の国別データを公開しました。この国別データは、2000年と2021年の数値がインフォグラフィックにて示されています。
「Statista」が公表したデータによると、富裕層上位1%が占める富の割合が最も大きかったのは、ウクライナとの対立で話題沸騰中のロシアでした。この割合が最も大きいということは、富の不平等が大規模に発生しているということであり、2021年にはロシアの富裕層上位1%が国全体の富の約60%を占有していることになります。
また、2000年から2021年の21年間で、富の不平等が最も拡大したのは中国です。一方、富の不平等が縮小した国としては、カナダ、フランス、日本が挙げられます。日本に関しては、2021年に富裕層上位1%が占める富の割合は18.7%と、20%を下回っています。
なお、元データはクレディ・スイスの「Global Wealth Report 2022」だとされています。「Global Wealth Report」は、世界の家計の富に関する包括的かつ最新の情報を提供しているレポートです。
富の不平等が起こる主な理由|不平等による問題
なぜ、世界中で富の不平等が起こっているのでしょうか?その理由は、国や地域によって異なるため一概には言えませんが、産業構造の変化、少子高齢化、非正規雇用の増加などが主な理由だとされています。
近年は急激なデジタル化により、産業構造の変化が世界的に起こっています。ITやAIが普及したことで、その便利さから肉体労働を主としていたときよりも、富の格差が生まれやすくなっているのです。
富の不平等が激化すると、その国では差別や虐待が助長されたり、国民が地域社会から孤立しやすくなったりします。また、暴力や紛争が起こりやすくなるなど、さまざまなトラブルの原因になります。
富の不平等の解決策として、国レベルでいくつかの方法が考えられていますが、一度富の不平等が起こってしまうと解決するのは容易ではありません。代表的な解決策としては、開発援助や外国直接投資の促進、ベーシックインカムの導入、公平性のある貿易といったことが挙げられます。
日本は世界的に見ると富の不平等が激化していませんが、まったく問題になっていないというわけではありません。富の不平等を大きくさせないためには、国民1人ひとりが意識して行動することが大切なのかもしれません。