総務省は9日、楽天モバイルが9月に起こした大規模通信障害の件で行政指導を実施しました。同様の事故を発生させないよう厳重に注意し、同時に再発防止を徹底するよう求めました。
9月4日に発生した同社の通信障害では、約2時間にわたって携帯電話の通話で約11万人、データ通信で約130万人の計およそ141万人が影響を受けました。通信障害中は、一部で110番や119番などの緊急通報も行えなかったとされています。
この件について、総務省は10月17日に同社のデータセンターへの立ち入り検査を実施。設備状況や障害への対応を確認し、最新情報の取得による未然防止や、障害の大規模化を防ぐ対策などの徹底を求めました。
9日午前に、総務省の竹村晃一総合通信基盤局長は「利用者の利益を阻害し、社会経済活動に深刻な影響を及ぼすものであり、同様の事故を発生させないよう厳重に注意する」と述べ、同社の矢澤俊介社長に行政指導の文書を手渡しました。その後、同社の矢澤社長は「顧客にご迷惑をおかけした。安心安全のライフラインとしてしっかりやっていきたい」と、コメントを残しました。
今回の件に対してネット上では、「通信障害が起きたら1秒でも早く告知してほしい」「過去にauもソフトバンクも起こしているので、楽天モバイルだけダメという話にはならない」「楽天モバイルは通信障害関係なしに屋内だと使い物にならない」などの意見があがっています。
通信障害は「ソフトウェア不具合による輻輳」が原因
楽天モバイルは9月に起こった通信障害について、総務省に重大な事故報告書を提出しています。この報告書によると、影響時間は9月4日11時20分頃から13時26分頃までの約2時間6分です。
通信障害の原因は、データセンターのスイッチ装置にソフトウェア不具合が発生し、装置の再起動が発生したためだとされます。これに伴い、切断されたユーザー端末から再起動要求が殺到し、ポリシー制御を司る加入者データベースに輻輳(ふくそう)が起こり、位置登録処理に失敗した端末の通信が不安定になったとのことです。
同社の公式ホームページでは、通信障害の原因を「ネットワーク設備再起動に伴うトラヒック輻輳のため」と説明しています。また、同ページには「お客様にはご迷惑をお掛けしましたことを、深くお詫び申し上げます」と、謝罪の一文が掲載されています。
なお、総務省は2022年度にKDDIとNTT西日本にも通信障害に関する行政指導を行っており、今回の楽天モバイルで3件目となります。