中国系のショート動画投稿アプリ「TikTok」運営会社の従業員が、アメリカのジャーナリストや民間人の個人情報を不正に収集していたことが、22日にニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道で判明しました。
NYTによると、不正を行ったアメリカ在住の社員2名と中国在住の社員2名は解雇され、リークした者の摘発には失敗したとのことです。個人情報を収集していた目的は、取材を担当している複数の記者の情報源を明らかにするためだとされます。
米誌フォーブスは10月に、TikTok運営会社のバイトダンスが中国の拠点から記者を監視していると報道しました。同社は米国政府やジャーナリストを標的にしていないと説明したものの、実際には個人情報を不正に収集していました。
収集していた情報はIPアドレスであり、地域などを割り出して従業員との接触の有無を調べようとしていたとのことです。情報収集の被害にあった記者は、バズフィードのエミリー・ベイカー-ホワイト氏と、フィナンシャルタイムズのクリスティーナ・クリドル氏の2人です。さらにNYTによると、記者2人と関係性のあるほかのアメリカ人も標的にされていたとのこと。
バイトダンスは監査とリスクチームの活動を制限し、同チームからアメリカのデータへのアクセスを禁止にするとしています。また、バイトダンスの梁汝波CEOは、「我々が多大な努力を払って築き上げてきた国民の信頼は、数人の個人の不正行為によって大きく損なわれるだろう」と、従業員向けの電子メールで述べました。
アメリカ政府はTikTokの利用をさらに警戒
14日、連邦政府関係の端末にTikTokのダウンロード・利用を禁止する法案が、米上院で可決されました。それ以外にも、アメリカ国内でのTikTok利用を全面的に禁止する法案も発表されています。
アメリカ政府は今回の情報流出が明らかになったことで、TikTokの利用をさらに警戒・危険視しています。国民や政府の情報漏えいを考慮し、TikTokの利用が国内で全面的に禁止される可能性も十分にあるでしょう。
またTikTokへの不信感は、アメリカだけでなく日本にまで広がっています。今回の1件を知った日本人は、「やっと本性をあらわしたな」「トランプ大統領はやはり正しかった」「日本からTikTokを追放しなくちゃダメでしょ」などの反応を示しています。バイトダンスの今後の対応に注目したいところです。