東京証券取引所は25日、企業が上場基準を満たしていなくても暫定的に上場を認める「経過措置」を、実質4年で終わらせるという案を発表しました。経過措置は2022年4月の市場再編を起点に3年で終了し、その後の1年を改善期間とします。
改善期間内に上場基準を満たせなければ、監理・整理銘柄に指定されて上場は廃止となるため、経過措置の対象となる企業は上場維持に向けた経営改革が急務となります。
東京証券取引所は2022年4月に、市場をプライム、スタンダード、グロースの3つに再編しました。それぞれのコンセプトと上場基準は以下の通りです。
コンセプト | 流通株式ベースの時価総額 | |
---|---|---|
プライム | 高いガバナンス水準を備え、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場 | 100億円以上 |
スタンダード | 基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場 | 10億円以上 |
グロース | 高い成長可能性を実現するための適切な開示が行われ、一定の市場評価が得られる一方、相対的にリスクが高い企業向けの市場 | 5億円以上 |
すでに東京証券取引所に上場している企業は、上記の基準を満たしていなくても当分の間は経過措置として、上場し続けられる制度になっています。経過措置の対象は2022年12月末時点で、プライムが269社、スタンダードが200社、グロースが41社あり、各市場の1〜2割を占めています。
経過措置の期間を「当分の間」としていたことが批判される
当初は経過措置の期間を明言していなかったため、市場では制度に対しての批判が相次ぎました。東京証券取引所は有識者会議での議論を踏まえ、経過措置の期間を明確に定めるものとして、3年プラス1年の実質4年で終わらせる案を打ち出しました。
【実質4年の具体的な流れ】
- 2022年4月:東証プライム市場がスタート
- 2025年3月:経過措置終了
- 2026年3月:監理・整理銘柄に指定
- 原則6ヶ月で上場廃止
この流れは上場基準を満たせなかった3月決算企業の場合であり、9月期決算企業なら経過措置の終了時期は2025年9月となります。
その後1年の改善期間内に上場基準を満たせなかった場合、監理・整理銘柄に指定されて上場廃止となります。通常、監理・整理銘柄の指定は3ヶ月以内ですが、特例として指定期間を6ヶ月に定めています。これは、既存株主が保有株を売却できる期間を十分に確保するためです。
なおこの実質4年で終わらせる案は、今後の有識者会議で案がまとまれば、早くて今春にも適用されるとのことです。今後の東京証券取引所の動向に注目が集まります。