セブン&アイ・ホールディングスが、自社のスーパー事業であるイトーヨーカ堂の株式を2026年以降に一部売却することを検討しています。これは、スーパー事業の再成長を目指し、外部の資本と知見を取り入れるための戦略です。
経営資源は、より収益性の高いコンビニエンスストア事業に集中させる方針です。また、中間持ち株会社を設立し、ヨーカ堂や非上場のグループ食品スーパーであるヨークベニマルなどを統括する形が考えられています。新設される持ち株会社は、将来的に新規株式公開(IPO)を行う可能性もあります。
首都圏の食品スーパー事業は、2026年2月期までに黒字化を目標としており、セブン&アイ・ホールディングスは中間持ち株会社の株を一部外部に開放する計画です。具体的な出資比率や方式は現在も検討が続けられています。
同社の社長である井阪隆一氏は、スーパー事業について「IPOも考えている」と述べ、事業の再構築に対する意欲を示しています。また、外資系証券アナリストによると、ヨーカ堂の企業価値は2,000億円を超えると評価されており、市場の関心も高まっているとのことです。
この動きは、セブン&アイ・ホールディングスにとって新たな成長戦略の一環として注目されています。ネット上では、「高収益のフランチャイズのコンビニと低利益率の直営のスーパーを掛け合わせるのに無理があったのではないか」「ヨーカ堂はもうイオンに引き取ってもらった方がいい」などの意見がみられました。
ヨーカ堂は1920年に開業 一時は年商1兆円超まで成長
ヨーカ堂は、1920年に東京・浅草で開業した洋品店「羊華堂」から始まります。時代とともに業績を伸ばし、一時は年商1兆円を超える規模にまで成長しました。
1973年にはセブン-イレブン・ジャパンの前身企業を設立し、翌年には東京・豊洲に日本初のセブンイレブン店を開店しました。しかし、近年は「ユニクロ」など専門店の台頭やネット通販の普及に押され、業績は低迷しています。
2023年に入り、ヨーカ堂は連続3期赤字を記録し、同年3月から11月の期間に70億円の営業赤字を出しました。これを受け、セブン&アイ・ホールディングスは北海道・東北・信越地方からの撤退を含む33店舗の閉鎖を発表しました。
また、津田沼店を含む首都圏の店舗閉店も相次ぎ、企業は早期退職の募集を始めています。グループ全体で不採算事業の整理を進め、2023年9月には百貨店子会社のそごう・西武を米ファンドに売却しました。