三井物産がYouTuberや大学講師など副業を認める 全社員約3,800人が対象

大手総合商社の三井物産は2023年1月から、全社員に幅広い副業を認める新たな人事制度を導入しました。従来は原則禁止でしたが、社員の柔軟なキャリア形成を後押しする、優秀な人材獲得や副業でのスキルや人脈を本業に活かしてもらう、などの狙いから副業を認めました。

幅広い副業を認めるのは、大手商社のなかで三井物産が初めてです。実質的に国内の全社員約3,800人が対象で、YouTuberや大学講師、コンサルタント、作家、画家などの副業を認めています。ただし、本人のキャリア形成に役立つことなどが条件で、目的が金銭面のみだと対象外になるとのこと。

同社は「何でもありではなく、適切な制度活用を促す」という意向を示しています。すでに本制度を利用したいという届出が相次いでいるとのことです。

社員が副業を通して多くの経験を積むことで、自社の成長力につながると同社はみています。また政府も労働市場の活性化につながるとして、働き方改革を介して副業推進の動きをみせています。

なお、三井物産の動向を知った人たちは、「新しいことにトライしてすごい」「社内情報を漏らさないか心配」「本当に副業を導入すべきは三井物産のような高給企業ではなく、給料が安い中小企業なのでは?」などの反応を示しています。

副業を認めている大企業は意外と多い

副業を大々的に認めていなくても、社内ルールとして副業を推進している大企業は意外とたくさん存在します。IT系企業で言うと、ソフトバンクやヤフー、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エーなどが挙げられます。

そのほか、アサヒビールやリクルートホールディングス、新生銀行などの大企業も副業制度を取り入れています。企業の主な目的は、イノベーション創造・社員の成長、働き方の多様化の実現といったところです。

また、厚生労働省によって「モデル就業規則」から副業禁止が削除され、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が発表されたことも大きく影響しています。大企業が率先して副業制度を導入しているように思えますが、中小企業でもこの傾向は強まっています。

現在の日本では、会社からの給料増加は微々たるものです。その一方で物価の上昇が加速しているため、実質賃金が年々低下しています。この問題を解決に導く1つの策として、副業制度の導入が政府や企業から注目されているのです。三井物産だけでなく、ほか大企業の今後の動向に注目が集まります。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 「日本の児童相談所 半数が若手職員という驚くべき内情」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
    日本の子どもの未来を守るため、虐待をはじめ、健康や障害、非行、育成など幅広い相談に対応している「児童…
  2. JR東日本は、新たなデジタル金融サービス「JRE BANK(JREバンク)」を5月9日に開始すると発…
  3. 台湾のデジタル発展部長である唐鳳(オードリー・タン)氏の退任が決定しました。5月に就任する卓栄泰・次…

おすすめ記事

  1. 2024-4-29

    『新潟市水族館 マリンピア日本海』の裏側に密着!災害時における安全管理の取り組みとは?

    令和6年の能登半島地震により、石川県の施設は甚大な被害を受けた。その復興の道のりのなかで、『のとじ…
  2. 青森刑務所で受刑者に講話を行った受刑者等専用の求人誌「Chance!!」編集長・三宅晶子氏

    2024-2-6

    受刑者等専用の求人誌「Chance!!」編集長・三宅晶子氏が青森刑務所で受刑者へ伝えた想い

    三宅晶子氏(株式会社ヒューマン・コメディの代表取締役)は、日本初の受刑者等専用求人誌「Chance!…
  3. 2024-4-17

    スノーピーク、株式公開買い付け成立で上場廃止へ 買い付け総額は約340億円

    スノーピークは13日、米国の投資ファンドであるベインキャピタルとの間で行われた経営陣による買収(MB…

【募集中】コンテスト

第5回ライティングコンテスト(東京報道新聞)

【結果】コンテスト

東京報道新聞第4回ライティングコンテスト (結果発表)

インタビュー

  1. ゴミ収集車の死亡事故による呼び捨てでの実名報道で訴訟を起こした品野隆史氏
    現在メディアでは、事件に関して疑いのある人の実名報道では「容疑者」を呼称でつけていますが、1989年…
  2. 青森県で協力雇用主として出所者の社会復帰を目指して雇用する企業「有限会社松竹梅造園」代表の渡辺精一様
    協力雇用主とは、犯罪や非行をした者の自立や社会復帰に向けて事情を理解したうえで就職先として受け入れる…
  3. 青森刑務所で受刑者に講話を行った受刑者等専用の求人誌「Chance!!」編集長・三宅晶子氏
    三宅晶子氏(株式会社ヒューマン・コメディの代表取締役)は、日本初の受刑者等専用求人誌「Chance!…
ページ上部へ戻る