パリに本拠を置く投資銀行ロスチャイルドの非公開化に向けた株式公開買い付け(TOB)に、富豪一族であるベルテメール、ダッソー、プジョーの3家が資金を提供する見通しとなりました。
13日の発表資料によると、その3家に加えてイタリアのジャンマリア・ジュリアーニ氏が、ロスチャイルド家の持ち株会社コンコルディアが示した1株48ユーロ(約6,800円)での取得提案に応じる見通しだとされ、その提案は、ロスチャイルドの企業価値を約37億ユーロと評価する内容であるとのことです。
投資銀ロスチャイルドの55%、議決権にして67%を所有するロスチャイルド家と同じく、今回出資する3家は長期保有の株主となります。それぞれの保有率は約5%となり、最低8年間は売却できません。
ロスチャイルドは過去30年間にM&Aの助言に加え、裕福層の資産管理など業務を拡大してきましたが、株式上場のメリットを見いだせなくなったとされます。ロスチャイルドは2月に入り、株式非公開化計画の大枠を発表しました。
ロスチャイルドの執行パートナーであるフランソワ・ペロル氏は、記者団との電話会議で「これらのファミリーすべてが、それぞれ異なる根拠でロスチャイルド家と信頼関係を築いている」と述べました。上場廃止は8月末となる見込みです。
地球上で最も裕福な一族と名高い「ロスチャイルド家」
ロスチャイルド家はユダヤ人の一族で、1760年代にフランクフルトで金融業を営んだ初代マイヤー=アムシェルから始まりました。その5人の子供が18世紀末から19世紀までに、全ヨーロッパに金融ネットワークを広げ、株式投資などを通じて巨額の富を築いていきました。
そこから7代目の現在も、ロスチャイルド家は地球上で最も裕福な一族と言われています。ロスチャイルド家の豪邸としてはワデズドン・マナーが有名で、漫画やアニメに出てきそうなほど幻想的な空間が敷地・建物内に広がっています。
また、ロスチャイルド家はワイン・ビジネスに目をつけ、素早く投資して規模を着実に拡大していったことも有名です。ボルドー産の赤ワインで第1級の格付けを得ている「5大シャトー」の、ラフィット/マルゴー/ラトゥール/オー・ブリオン/ムートンのうち、ラフィットとムートンの2銘柄はオーナーがロスチャイルド家です。
そのほか、金・ダイヤモンド・戦争などビジネスになりそうなものを幅広く手掛け、何世紀にもわたって資産を形成してきました。