
日本郵政は27日、子会社であるゆうちょ銀行の株式を大量に売却すると発表しました。最大10億8,900万株を売却し、出資比率(議決権ベース)を現在の89%から60%程度まで引き下げる予定です。売却額は1兆円を超える可能性があります。
ゆうちょ株の売却は、日本郵政などグループ3社が上場した2015年11月以来となり、2025年までに出資比率を50%以下に引き下げる一環であるとのことです。
「株式需給への影響を緩和する」として、ゆうちょ株の売却は市場で売り出すほか、ゆうちょ銀行が自社株買いを実施します。
ゆうちょ銀行が上場する東証プライム市場は、企業に対して市場で流通する株式の比率が「35%以上」であることを、上場維持基準として求めています。しかし、2021年6月時点でゆうちょ銀行の流通株式比率は8.8%でした。今回の株式売却で、東証プライム市場の基準に適合する見込みです。
今回のゆうちょ銀行の株式売却について、ネット上では「ゆうちょ銀行は迷走している」「いずれ売却されると思ってた」「いよいよ日本郵政もやばいのか」などの声があがっています。
株式売却の発表後、ゆうちょ銀行の株価が暴落
日本郵政がゆうちょ銀行の株式売却を発表すると、ゆうちょ銀行の株価が大幅に反落しました。市場では短期的な需要悪化を警告して、売り注文が殺到したとされています。
また、株価の暴落はゆうちょ銀行だけでなく、親会社である日本郵政にも影響を及ぼしています。これまで、日本郵政は順調に株価を更新していました。報道があった日も高値を更新していましたが、その後、日本郵政の株価がゆうちょ銀行同様に下落しました。
そもそも親会社である日本郵政は、財務大臣が35%程度の株式を保有するグループ会社です。財務大臣のほかには、日本マスタートラスト信託銀行株式会社や株式会社日本カストディ銀行などが大株主を務めます。
その日本郵政の子会社であるのが、今回株式の売却対象となったゆうちょ銀行です。もともと約89%の株式を保有していましたが、今後は60%程度になる見込みです。
また、日本郵政はかんぽ生命の親会社でもあります。かんぽ生命の株式は、日本郵政が約50%を保有しています。かんぽ生命については、東証プライム市場の上場維持基準である「35%以上」をクリアしているため、今後大きな動きはないと予想できます。
今回の株式の大量売却はあくまで発表であり、確定しているものではありませんが、大大的に発表したということは、多少の誤差はあれど、ほぼ同規模に近い売却を行う可能性が高いと言えるでしょう。今後の日本郵政とゆうちょ銀行の動きに注目が集まります。