社会問題の1つとして度々取り上げられるホームレス問題。日本の東京には、ホームレス状態の人が全国的に見て多いことをご存知でしょうか?
東京都におけるホームレス状態の人の人数は、東京都が実施している「路上生活者概数調査」によって明らかになっています。
そもそもホームレス状態の人の定義は、法第2条に規定する「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」としており、調査方法は、各施設管理者の目視による確認調査が採用されています。
つまり、直接テントやダンボールなどのなかを確認したり、路上生活者に対する聴き取りを行ったりしているわけではありません。
東京都が行った「平成31年冬期 路上生活者概数調査の結果」によると、1月時点での都内のホームレス状態の人の人数は1,126人でした。内訳は、23区で594人、市町村で18人、国管理河川で514人です。
また、同じく東京都が実施した「令和元年夏期 路上生活者概数調査の結果」によれば、同年8月までの人数は1,037人であり、内訳は23区で570人、市町村で15人、国管理河川で452人でした。
全国的に見ると、ホームレス状態の人の人数は東京都が多い傾向にあります。しかし、近年の都内路上生活者数の推移の通り、東京都におけるホームレス状態の人は減少していることがわかります。東京都が公表した直近の推移は以下の通りです。
令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | |||
4年8月 | 4年1月 | 3年8月 | 3年1月 | 2年8月 | |
夏期 | 冬期 | 夏期 | 冬期 | 夏期 | |
23区 | 403 | 437 | 476 | 549 | 550 |
市町村 | 21 | 21 | 21 | 15 | 18 |
国管理河川 | 269 | 312 | 303 | 298 | 309 |
合計 | 693 | 770 | 800 | 862 | 877 |
ホームレス状態の人が減っているのは政府の支援制度が影響
東京都は、「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第4次)」を策定しています。この支援制度は、2019〜2023年までの5年間で行われるもので、「都内ホームレスの一日も早い自立と、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が、ホームレスになることなく安定した生活を営めること」が目的です。
また東京都は「具体的な対策の概要」として、以下9つの施策を発表しています。
- 自立支援システムの運営
- 就業機会の確保
- 安定した居住場所の確保
- 保健及び医療の確保
- 生活に関する相談・指導
- 緊急援助及び生活保護
- ホームレスの人権擁護
- 地域における生活環境の改善
- その他の取組
これらの支援制度が影響し、東京都におけるホームレス状態の人の人数は確実に減少しています。今後の東京都の取り組みにも注目したいところです。