IT大手の米Microsoftは10日、核融合発電のスタートアップ企業であるヘリオン・エナジーと2028年からの電力購入契約を結んだと発表しました。米メディアによれば、核融合の売電契約を交わすのは世界で初めてだとされます。
ヘリオン・エナジーは2013年に設立した核融合スタートアップ企業であり、対話型チャットボット「Chat GPT」の開発元であるOpenAIの創業者サム・アルトマン氏が出資している企業としても有名です。
これまで約5億8,000万ドルの資金を調達し、プロトタイプを6機製造。現在7番目のプロトタイプを建設しているとのことで、2024年には発電能力の実証を行う見込みです。
2028年には核融合発電をスタートし、その後1年間で出力5万キロワット以上まで高めることを目指します。将来的には、出力100万キロワット級の発電設備の開発を目指すとのことです。
現時点で詳細は明らかにされておらず、核融合発電による電力の一部をMicrosoftに販売する見込みであり、売電契約を締結したことで核融合発電の開発に失敗すれば、Microsoftに違約金などのペナルティーが支払われます。
Microsoftは2030年までに調達する電力を「温暖化ガス排出ゼロ」とする方針です。ヘリオン・エナジーのCEOを務めるDavid Kirtley氏は、「この提携は、ヘリオンと核融合業界全体にとって重要なマイルストーンである」と語っています。その上で「まだやるべきことはたくさんあるが、世界初の核融合発電施設を提供する能力に自信を持っている」とコメントしました。
ネット上では、「どんな契約内容なのか気になる」「Microsoftにとって完全にギャンブルな契約だ」「核融合が実用化されれば地球温暖化問題は解決に近づくと思う」など、賛否の意見が寄せられています。
ヘリオン・エナジーとはどんな企業?
今回、Microsoftと契約を結んだヘリオン・エナジーは、ワシントン州シアトル近郊のエベレットに所在するアメリカの核融合研究企業です。2013年に設立されたベンチャー企業ですが、95%の効率で磁気エネルギーを回収することを実証、10テスラ以上の圧縮磁場を実現など、核融合に関する実績があります。
現在は7番目のプロトタイプを建設しており、2028年までに5万キロワット以上の発電能力を有する核融合発電書の稼働を計画しています。この計画が実現すれば、大量のクリーンな電力を安全に生成でき、Microsoftが目指す地球温暖化の対策に一歩近づくことが可能です。