2日、行政のデジタル化を進めるための改正マイナンバー法を参院本会議で可決し、成立しました。現行の健康保険証は2024年秋に廃止する予定であり、それに向けた制度を整えています。
政府はマイナンバーカードと保険証を一体にする「マイナ保険証」の普及を目指しており、いまの保険証は2024年秋以降、1年の猶予期間を経て使えなくなります。法改正により、カードを所持しない人でも保険診療を受けられるようにする「資格確認書」の発行が、健康保険組合などで可能になるとのことです。
この確認書の期限は1年とする方針で、カードの利用者よりも受診時の窓口負担を割高にするという意見も出ており、これには「マイナ保険証」を普及させたいという狙いがあります。また、乳幼児の顔つきが成長に伴い変化することを踏まえ、1歳未満に交付するカードには顔写真を不要とする内容も含まれています。
政府は新型コロナウイルス感染拡大を受け、国民全員に給付金を配布しました。しかし、通帳のコピーなどの提出が必要となり、個人給付が行き渡るまでには時間がかかりました。
そのこともあり、政府は改正マイナンバー法を取り決め、マイナンバーカードの普及を進めているのだと考えられます。政府はマイナンバーカードを「23年3月までにほぼ全国民に行き渡らせる」と表明し、マイナポイントを付与するなどして、国民に取得を呼びかけてきました。
QRコード決済サービスとの連携も図り、積極的にキャンペーンを遂行し続けた結果、全国民の申請率は8割弱、交付率は7割強にまで至りました。
コンビニエンスストアでの住民票誤交付トラブルが相次ぐ
2023年3月以降、コンビニエンスストアで住民票の写しを取得しようとしたところ、他人の住民票の写しが印刷されたなどの、住民票誤交付トラブルが相次いでいます。
開発元は富士通Japanであるとのことで、横浜市や東京都足立区、川崎市などを中心にトラブルが発覚しました。富士通Japanは「ほかの自治体(横浜市)で発生した事象については、同じトラブルが発生していないことを確認した。データの更新部分などを含め、総点検を実施した際に新たな不具合が発覚した」とコメントしています。
ほかの地域でもトラブルは発生しており、札幌市は5月25日からの4日間、住民票の写しなどを交付するサービスを一時停止し、システムの点検を図りました。このようなトラブルが発生していることは事実ですが、政府は着実にマイナンバーカード利用の体制を整えつつあります。