30日、政府・日銀が9月に実施した円買いの為替介入の規模について、約2兆8,000億円であったと財務省が発表しました。1998年4月に行われた約2兆6,000億円を上回り、為替介入の規模は今回が過去最大です。
政府・日銀は今月22日、深刻化する円安に歯止めをかける目的で、外国為替市場でドルを売って円を買うという市場介入に踏み切りました。
政府・日銀の市場介入により、直後の円相場は「1ドル=140円台前半」まで急速に値上がりしましたが、その後は日米の金利差を背景に円相場が戻り、現在は市場介入前とあまり変わらない「1ドル=144円台」になりました。
今後も、政府・日銀の市場介入は継続される見込みですが、介入した規模があまりにも大きかったため、ネット上では一部批判的な意見があがっています。しかし、今回の市場介入に対して、「効かないと思ったら、意外と効いていますね」など、政府・日銀の市場介入を絶賛する声もあがっています。
深刻化している円安を止める2つの策
現在の日本は、円安が猛烈な勢いで進んでいます。政府・日銀は市場介入などで食い止めようとしていますが、根本から解決するような大きな効果は得られていません。円安の勢いは止まらず、さらに深刻化することが予想されます。
この円安を止めるためには、大きく分けて2つの策が有効だと考えられています。1つ目は、日銀の金利の底上げです。
円安の背景には日米金利差の拡大があります。アメリカと日本の中央銀行の金利差がひらき続けているため、政府が日銀に円安是正への協力を強く訴え、日銀がそれを受けて金利を底上げすれば、円安は少しずつ回復していくでしょう。
もう1つの策は、資金還流の促進策の検討です。日本企業の海外子会社が抱えている資金の総額は、2021年3月末時点で37.6兆円だと言われています。「為替差益には課税を免除する」などの促進策を設け、莫大な資金を日本国内に還流させることができれば、円高の圧力が強まると予想されます。
これらの策を実行するためには、いくつものハードルを乗り越えなければなりません。そのため、「本当に現実的な解決策なのか?」と聞かれると、一部疑問視される部分もあるでしょう。
また、何かしらの策を打ったとしても、円安が起こっている原因は1つや2つではないため、確実に円安が止まる保証はありません。しかし、現在の状況よりは確実に良い方向に進むと予想されるため、今後の政府・日銀の行動に期待したいところです。