2023年の日本の名目国内総生産(GDP)が591兆4,820億円、ドル換算で4兆2,106億ドルに達したことが内閣府からの発表で明らかになりました。この数値により、日本は世界経済ランキングでドイツに次ぐ4位に転落しました。
ドイツのGDPは4兆4,561億ドルに達し、1967年以来、56年ぶりに日本がGDP実額でドイツに後れを取る結果となりました。長年、資本主義国として米国に次ぐ世界第2位の経済大国の座にあった日本ですが、1990年代以降の経済低迷と中国の台頭により、2010年にはその座を中国に譲っています。
2000年代には日本とドイツのGDPに約2.5倍の差がありましたが、ドイツの経済が統合を経て着実に成長する一方で、日本はデフレと長期低迷から脱却できず、差が縮まりました。特に2023年の記録的な円安は、ドル換算でのGDP縮小を招き、逆転現象が起こりました。
将来的に円高が進めば日独の再逆転もあり得ますが、人口減少や生産性の問題が続く日本にとって国際通貨基金(IMF)は当面、ドイツが日本を上回り、2026年にはインドによる追い越しも予測されています。
日本がドイツにGDPで逆転された理由とは?
日本の経済がドイツにGDPで逆転された背景には、いくつかの理由があります。まず、為替相場の変動が大きな要因として挙げられます。
円相場は2011年には一時、「1ドル=75円台」という円高が記録されましたが、2023年は平均で「1ドル=140円台」まで円安が進行しました。この円安が進むと、GDPを円からドルに換算する際に日本のGDPが目減りすることになり、国際的な比較で不利な状況に陥ってしまいます。
また、物価上昇の影響も無視できません。ドイツでは去年、ロシアによるウクライナ侵攻の影響でエネルギー価格が高騰し、名目GDPの成長率を押し上げました。一方で、日本はデフレと長期低迷に苦しんでおり、物価上昇率と名目GDPの伸びが抑えられる傾向にありました。
さらに、日本の生産性の低迷も深刻な問題です。日本はOECD(経済協力開発機構)の加盟国中で30位という低い労働生産性を記録しており、特にサービス業のデジタル化や省人化が遅れています。これにより、日本経済の成長率は低迷し、ドイツとのGDP差が縮まる結果となりました。
日本の経済力は国際的な競争において後退しています。今後、日本が再び国際競争力を高めるためには、これらの課題に対する効果的な対策が求められます。