中国の大手不動産開発会社である中国恒大集団が17日、ニューヨーク・マンハッタン地区の連邦破産裁判所に、米連邦破産法15条の適用を求める申請を行いました。米連邦破産法15条は、米国内の資産を保護する目的で申請するもので、認められれば債権者からの差し押さえなどを回避できます。
この法の適用により、米国内の資産が保全される一方で、米国外では債務の再編策が練られることとなります。中国恒大集団は数ヶ月前からオフショアでの債務再編の計画に注力しており、4月時点ではその計画の実行に必要なレベルの債権者の支持を得ていないことを発表しました。
財務を巡る不透明感が数ヶ月続いたあと、2021年12月にはドル建て債のデフォルトに陥っています。その後、ドル建て債の保有者と債務再編交渉を続けてきましたが、不安は拡大したままです。
また、中国恒大集団は不動産市場悪化の影響で資金繰りに行き詰まり、直近ではおよそ48兆円の負債を抱えていたとのことです。今後は、日本経済にまで影響を及ぼす可能性があります。
ネット上では、「中国もついにバブル崩壊して失速か」「そんなに日本に対して経済的な影響は少ないと思う」「リーマンほどの影響はないだろう」などの意見が見られています。
中国恒大集団の資金繰り難航は規制強化の影響か
習近平国家主席は「住宅は投機のためのものではなく、生活のためのものであるべき」と述べました。この背景には、不動産価格の上昇と不動産デベロッパーへの過度な利益追求があり、これに対しての規制が強化されています。
2020年夏には、大手不動産会社への監視が強化され、「3つのレッドライン」という資金調達の基準が確立されました。この影響で、中国恒大集団は資金繰りに難航し、経営の悪化を辿ってしまったのです。
銀行からの融資が厳しくなったことで建設会社などへの支払いが滞り、その結果として住宅建設のペースが落ち、住宅の購入に対する消費者の態度も保守的に変わりました。中国恒大集団は2021年12月にドル建て債のデフォルトを起こし、2022年3月には株式の取引が停止されました。
公表された2021年と2022年の12月期連結決算では、最終赤字が約5,819億元(約11兆6,500億円)となっています。現在、地元の広東省政府の支援を受け、再建を進めているとのことです。今後の中国恒大集団の動向に注目が集まります。