KDDIは6日、コンビニ大手のローソンに対して株式公開買い付け(TOB)を行い、約50%の株式を取得すると発表しました。この動きにより、ローソンは三菱商事とKDDIの共同経営下に入ります。
共同経営の主な目的は、コンビニの実店舗とKDDIの通信技術を組み合わせることで、金融サービスやネット通販など、さまざまなサービスを強化することにあります。ローソンの竹増貞信社長は、「通信・デジタル技術を持つKDDIからの提案は、我々が進む将来への大きな力になる」と、資本提携の重要性を強調しました。
ローソンの株式は現在、三菱商事が50.06%、KDDIが2.11%を保有しています。KDDIの計画では、約4,971億円を投じて残り約48%のローソン株を取得する予定です。TOB成立後には、ローソンは上場廃止となる見込みです。
三菱商事、KDDI、ローソンはすでに資本業務提携を結び、9月を目処に手続きを完了します。ローソンはデジタル技術を活用した新たなサービスを提供し、KDDIは携帯電話市場の成熟と共に、ローソンとの協業を通じて事業の多角化を図る方針です。
資本提携によって実現するテーマ、「リアル、デジタル、グリーン」
KDDIとローソンの資本提携によって実現するテーマについて、KDDIの髙橋誠社長は「リアル、デジタル、グリーン」だと語っています。具体的には、ローソンとKDDIが全国に持つ約1万7,000の拠点を利用して、オンライン診断後の服薬指導や薬の受け渡し、KDDIの各種金融サービスやスマートフォンのサポートなど、多岐にわたるサービスの提供を計画しています。
会見中には「1万7,000の拠点でスマホを売りたいということでは決してありません」と髙橋誠社長は述べ、ローソンの店舗が単なるauショップになることを否定しました。また、ローソンの日々の購買データとKDDIの通信契約者のデータを組み合わせることで、新しい購買サービスの開発、商品需要の予測、配送効率の向上に取り組む予定です。
ローソンの竹増貞信社長は、この件について「究極的にはコンビニとECが世の中にあれば、買い物は成り立っていくと考えている」とコメントしています。また、その上で「(そのためには)テックが必要で、通信で繋ぐ必要がある。KDDIと協業する成果を早いタイミングで実現していく」と述べました。
三菱商事の中西勝也社長も、デジタル技術の統合によるシナジー効果に期待を寄せ、「GAFAL(ガーファル)を目指していきたい」という新たな目標に言及しました。資本提携による今後の動向に注目が集まります。