トヨタ自動車が、2015年に国際オリンピック委員会(IOC)と締結した最高位スポンサー契約について、今夏のパリ五輪を最後に更新しない方針であることが明らかになりました。
この10年間の契約期間中、トヨタはIOCに資金提供を行うとともに、大会期間中の選手らの移動手段を提供するなど、オリンピック運営に重要な役割を果たしてきました。しかし、2024年の契約満了を機に、同社はこれまでの貢献を十分に果たしたと判断したようです。
今後、トヨタはオリンピック・パラリンピックへの支援の在り方を見直し、選手への直接的な資金援助やパラスポーツの振興など、スポーツ発展により重点を置いた活動を展開していく方針です。なお、国際パラリンピック委員会(IPC)とのスポンサー契約は引き続き継続する意向であるとされています。
また、同社はラグビーや野球など、現在サポートしている約30のスポーツチームについても、運営面での支援を続けていくとしています。トヨタはIOCやIPCとの協議を通じて、今後のスポーツ支援の方向性を定めていく考えです。
ネット上では、「実質メリット薄いもんな」「さすがトヨタ。良い判断です」「アジアからは中国の5大自動車メーカーや韓国の現代が名乗り出るんじゃないすか?」などの意見が寄せられています。
トヨタ、IOCのスポンサー資金使途に疑問 一連の不祥事も影響か
共同通信によれば、トヨタはIOCのスポンサー資金の使い方に疑問を感じていたようです。ある情報筋は、その資金がアスリートのサポートやスポーツ振興に十分に活用されていないと指摘しています。
また、2021年に新型コロナウイルスの感染が拡大した際、トヨタは日本での五輪関連広告を控えました。同社は、これを国内の反オリンピック世論とIOCの大会開催方針への対応だと説明しています。
加えて、東京オリンピックをめぐる一連の不祥事も、トヨタの良心を悩ませたとのことです。贈収賄や盗作、過重労働などの疑惑が取り沙汰されていました。
トヨタのスポンサー契約解除の件について、IOCは「2024年のパリオリンピックまでトヨタとの契約があります。これらの計画を実現することを楽しみにしており、パリに向けて引き続き緊密に協力して行きます」と、協力関係を維持する姿勢を示しています。トヨタは、パリ大会に燃料電池車「Mirai(ミライ)」を3,000台提供する予定です。
IOCの収入の大部分は、スポンサー契約(30%)と放映権販売(61%)から成り立っています。2021年東京大会までの4年間で、IOCは約1兆2,000億円の収入を得ました。この間、トップスポンサー15社が3,142億円以上を投資したとされます。