緊急避妊薬(アフターピル)の薬局での試験販売を11月20日に開始するよう、日本薬剤師会が準備を進めていることが関係者への取材で明らかとなりました。この取り組みは、厚生労働省が日本薬剤師会に事業を委託しています。
各都道府県で要件を満たした調剤薬局2〜3店舗ずつ、合計で全国150店舗程度で実施される見込みです。薬の販売価格は、7,000円から9,000円の間が想定されています。
16歳未満の方は試験販売の対象外となり、適切な医療機関への紹介が行われる一方、16歳以上18歳未満の方は保護者の同伴が必要です。緊急避妊薬はレボノルゲストレルという成分を含み、性交後72時間以内に服用することで、妊娠を高確率で回避できることが知られています。
この動きは、望まない妊娠の予防と女性の健康管理に新たな選択肢を提供するものとして期待されています。ネット上では、「薬局で手に入るようになったことはいいことです」「性的行為を強要された女性にとって、緊急避妊薬は必要です」「選択肢が増えるのはいいことだと思う」などの意見が見られました。
市販化への要望を受けて厚生労働省が許可 課題もクリア
これまで緊急避妊薬の入手には医師の処方箋が必須でしたが、性暴力や避妊失敗による望まない妊娠を防ぐ手段として、市販化への要望が高まっていました。厚生労働省の「緊急避妊に係る取組について」では、「緊急避妊薬は、性交後72時間以内に内服する必要性があり、迅速な対応が求められるものの、地方において産婦人科を受診しにくい状況や、デートレイプを含む犯罪などが関係する場合などにおいてもアクセスがしにくいという指摘があります」と記載されています。
厚生労働省は今年6月、これらの背景を踏まえ、処方箋なしでの販売を研究目的で許可する方針を固め、夏頃からの開始を目指していました。しかし、いくつかの課題をクリアする必要があったため、開始が今秋に延期されていました。
試験販売を行う薬局は原則として、研修を受けた薬剤師が常駐し、夜間や休日も対応可能で、なおかつ近隣の産婦人科と連携が取れ、プライバシーを守れる環境を整えている必要があります。また、研究に同意した消費者のみに販売され、購入者からは状況に関するアンケートが収集される予定です。