人間を対象にした脳インプラントを初実施 イーロン・マスク氏のニューラリンク

イーロン・マスク氏が率いる医療ベンチャーのニューラリンクは28日、脳へのデバイスのインプラントを最初の被験者に行ったと発表しました。この試験では被験者にデバイスが埋め込まれ、イーロン・マスク氏はX(旧Twitter)において「順調に回復している」とし、初期の神経細胞からの信号検出結果が有望であることを明らかにしました。

ニューラリンクの目標は、外傷を負った人が単に思考するだけでコンピューターを操作できるようにすることです。2023年5月にニューラリンクは米食品医薬品局から人間を対象とした臨床試験の承認を得て、頸髄損傷や筋萎縮性側索硬化症による麻痺を持つ被験者の募集を開始しました。

イーロン・マスク氏はさらに、新製品の名前は「テレパシー」になりそうだと述べ、「電話やコンピューターを通じて、考えるだけでほぼ全てのデバイスの制御が可能になる」とのビジョンを示しました。また、スティーブン・ホーキング博士がスピードタイピストや競売人より速くやりとりできたらという例を挙げ、その目標を強調しています。

この臨床試験は5人から10人の被験者が登録し、約6ヶ月の期間が必要とされます。最終的には、有効性と安全性を証明する包括的な試験に進むとのことです。しかし、スタンフォード大学のジェイミー・ヘンダーソン教授は、製品化が間近であるとの過剰な期待に警鐘を鳴らしており、承認にはまだ時間がかかると指摘しています。

2023年9月19日、ニューラリンクが被験者の募集を開始

イーロン・マスク氏が設立したニューラリンクは2023年9月19日、脳インプラントの初の人体臨床試験の被験者募集を開始しました。この試験では、頸髄損傷や筋萎縮性側索硬化症による麻痺症状を持つ患者を対象に、脳にチップを埋め込み、そのチップが脳の信号を記録してアプリに送信することで、コンピューター操作を可能にすることを目指しています。

最初の目標としては、「思考のみを使ってコンピューターのカーソルやキーボードを操作する能力を獲得してもらう」とのことです。試験期間は全体で6年に及び、初めの1年半は被験者が自宅で過ごしながら定期的にクリニックを受診し、その後5年間は経過観察が続けられます。これまでニューラリンクは主に動物実験を行っており、特にサルを用いた実験で一部批判を受けていました。

この進展は、人間の脳機能を拡張し、テクノロジーとの融合を目指すニューラリンクの野心的なビジョンを実現に近づけるものです。今後のニューラリンクの動向に注目が集まります。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 家事支援ロボット「NEO」予約開始 2026年配送で約297万円
    ロボット開発企業の1Xが10月28日、家庭用ロボット「NEO Home Robot」の予約受付を開始…
  2. 通常は激しく競い合う国内携帯電話業界で、前例のない協調路線が動き始めています。NTTドコモとSoft…
  3. クマはハチミツより肉を好む?アラスカの研究が示す“80%肉食”の衝撃
    愛らしい動物キャラクターとして表現されてもいるクマだが、そのイメージは完全に間違いであることが科学的…

おすすめ記事

  1. 横須賀刑務支所に建てられた第31回横須賀矯正展(2023年10月29日開催)の看板

    2023-12-8

    横須賀矯正展とは?刑務所内のブルースティックの生産工場も見学できる

    横須賀矯正展は年に一度、横須賀刑務支所により開催される刑務所イベントで、今回で31回目。横須賀刑務支…
  2. 網走刑務所で刑務作業を行う受刑者

    2025-7-21

    網走刑務所とはどんな場所?現役職員に聞いた歴史と受刑者の今

    強固な警備体制や凶悪事件の受刑者が収容されるイメージもある網走刑務所。映画やドラマなどの影響で、怖い…
  3. 2023年12月9、10日に開催された全国矯正展の会場(東京国際フォーラム)の入口

    2024-1-22

    日本最大規模の刑務所イベント、全国矯正展とは?刑務作業を通じて届ける矯正行政の今

    2023年12月9日(土)・12月10日(日)の2日間にわたり、東京国際フォーラムにて「全国矯正展」…

2025年度矯正展まとめ

2024年に開催された全国矯正展の様子

【終了】コンテスト

ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)募集|東京報道新聞

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年7-8月(大阪・関西万博 第3回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る