ソフトバンクグループが5四半期ぶりに黒字 7,834億円の損失から9,500億円の純利益へ

ソフトバンクグループが2023年第3四半期に、前年同期の7,834億円の損失から転じて9,500億円の純利益を記録し、5四半期ぶりに黒字を達成しました。この黒字転換は、ビジョン・ファンド(SVF)事業の投資損益が改善した結果です。

SVF事業は、前年同期の6,601億円の損失から4,227億円の税引き前利益を達成し、この利益は上場投資先と未公開投資先の公正価値が増加したことが寄与しました。第3四半期におけるファンドと本体の投資額は3億ドルに留まり、過去7四半期で最も控えめな金額でした。

孫正義社長が決算説明会を約1年間欠席した間に、SVF事業は未上場投資先価値の減少や米ウィーワークの破綻など、逆風に見舞われました。しかし、この四半期の成果は、そうした困難を乗り越えたことを示しています。

後藤芳光最高財務責任者(CFO)は記者会見で、「久しぶりの四半期黒字を出すことができてほっとしている」とコメントし、その上で今後は特に日本企業への投資を強化する方針を明らかにしました。

また、同社が重視するNAV(ネット・アセット・バリュー)は9月末の16.4兆円から12月末には19.2兆円にまで増加し、新規投資に注力する姿勢を強調しています。ソフトバンクグループ株も、傘下のアーム・ホールディングスの楽観的な四半期見通しを受けて、市場で急反発しました。この回復は、投資戦略の転換点となる可能性があります。

ソフトバンクグループ、Tモバイル株式48.8百万株を無償で取得

2月8日に開催されたソフトバンクグループの2024年3月期第3四半期決算説明会では、CFOの後藤芳光氏が重要な発表を行いました。特に注目されたのは、Tモバイル株式48.8百万株(1.1兆円相当)を無償で取得したことです。

この取得は、2020年4月に完了したTモバイルとスプリントの合併取引の一部であり、特定条件を満たした結果実現しました。この取引により、Tモバイルの時価総額は世界最大の通信事業者にまで成長し、合併後の株価は99%上昇しました。

また、ソフトバンクグループのNAVは2023年12月末に9月末から2.8兆円増加し、19.2兆円に達しています。この増加には、アームの株価上昇が大きく寄与しています。

後藤芳光氏はアームへの投資が3.3兆円から11.7兆円のリターンを生んだことを強調し、「大型案件としては非常に素晴らしい投資成績でなかろうかと考えている」と評価した上で、「世界でAIの発展に最も貢献できる会社はアーム」と述べ、その将来性に大きな期待を寄せています。

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