スシローが常時回転ずしサービスを再開中止 「すしが流れる形はなくなる」

FOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)は10日、運営する人気回転ずしチェーン「スシロー」で、商品を常時レーンに流すサービスを再開しない意向を公表しました。来客による迷惑行為を受け、2月以降注文商品のみをレーンに流す方式に変更していましたが、今後もこの方式を継続する見通しです。
同社の水留浩一社長は、同日都内で開催された記者会見にて「過去のように注文なしにすしが流れる形はなくなる」との見解を示しました。それに続けて、「レーンにすしが回っている世界を何らかの形で残せないのかという思いは強い」と述べ、新サービス「デジロー」を紹介しました。
これは、9月から一部の店舗でスタートしているサービスで、大型ディスプレイに映し出されるすしが流れる様子を再現し、客がそれを見ながら注文できるというものです。今後はこのサービスを広げていく考えを示しました。
スシローは1月に、SNS上で来店客が不適切な行動をとる動画が拡散され、客席とレーンの間にアクリル板を設置するなどの対策を講じています。この新たな取り組みにより、来客の安全と衛生を確保しつつ、回転ずしの新たな魅力を提供する方針です。
またF&LCは同日に、売上高に占める海外事業の比率を3年後には現在の2割から4割に増やすと発表しました。海外の店舗数も、現在の約3倍の400店超えを目指すとのことです。
同社から発表された2023年9月期決算(国際会計基準)では、売上高が前年比7.3%増の3,017億円、営業利益は8.7%増の110億円、純利益は2倍を超える78億円でした。
スシローは以前に回転レーンの提供再開を表明 再開叶わず
スシローは以前、客に未注文の寿司を回転レーンで提供するサービスを、今夏を目処に再開すると表明していました。しかし、10日の記者会見での発表に伴い、このサービスの再開は中止となりました。
当時、同社の水留浩一社長は「(多彩な寿司を)流している方が活気がある」と述べ、サービスの再開に対する意欲を示しています。スシローは食品ロス削減の一環として、「レーン限定」のネタを店内アナウンスで提供し、エンターテインメント性とSDGs(持続可能な開発目標)の両立を図る方針でした。
具体的には、レーン限定の希少部位をアナウンスするほか、余った部位を集めた軍艦などを想定していたとのことです。水留浩一社長は「レーンに流して意味のあるものだけにしたい」と強調していました。