日本銀行は、漸進的に大規模緩和政策からの出口戦略を展開していくことを示しています。具体的には、マイナス金利政策の解除に伴い、一定の国債買入れを継続する方針を明らかにしました。
この戦略は、18日から19日にかけて開催される金融政策決定会合で正式に発表される見込みで、マイナス金利の解除と共に、長短金利操作(YCC)の撤廃も決定される予定です。ただし、金利の急騰を抑制するための措置は維持される方向で検討されています。
YCCの導入は2016年9月、日銀がマイナス金利政策を開始してから7ヶ月後のことで、短期の政策金利をマイナス0.1%に設定し、長期金利の誘導目標を「ゼロ%程度」と定めました。この政策は、金利上昇を抑え込むことで強力な緩和効果を発揮してきましたが、市場機能の低下という副作用も伴っていました。
今回の会合では、基点となるマイナス金利の解除と共に、YCCの枠組みの廃止が予定されており、長期金利の上限撤廃や市場実勢に合わせた金利変動の容認により、市場機能の回復が期待されています。
内田真一副総裁「自由な金利形成をより尊重する方向」
政策の長期化と今後の明確な利上げ計画の欠如から、長期金利の急激な上昇が懸念されています。そんな中、金融市場の安定を図るため「指し値オペ」を利用した金利抑制策を維持する方向で検討されています。この手法により、必要に応じて国債を買い入れ、金利の急騰を防ぐ計画です。
2023年、米国の長期金利の上昇が国内の長期金利にも影響を及ぼし、日銀はYCC政策の範囲内で金利を抑えるために国債買い入れを大幅に増加させました。この結果、その年の国債買い入れ額は113兆9,380億円に達し、過去二番目の高水準を記録しました。
日銀の国債保有割合は発行残高の半分を超える状態にあり、市場機能への配慮から、植田和男総裁の下で長期金利の目安を1%に設定しています。しかし、実際の長期金利は1%に達することなく、足元では0.7%台後半で推移しており、市場からはYCCの形骸化が指摘されています。
日銀は、緩和的な金融環境の維持を目的として、金利急騰時以外でも一定規模の国債買い入れを継続する姿勢を明らかにしました。内田真一副総裁は、市場の混乱を避けつつ自由な金利形成を尊重する方針を強調し、大規模緩和政策からの漸進的な出口戦略の重要性を説いています。
この動きは、日銀がリスク資産の買い入れを含む「異次元」の緩和策から、通常の金融政策へと移行することを示唆しています。