米セラノスの創業者ホームズ被告に対して11年の実刑判決 投資家への詐欺罪
18日、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁は、血液検査会社セラノスを創業したエリザベス・ホームズ氏に対し、投資家への詐欺罪で11年3ヶ月の実刑判決を下しました。
ホームズ被告はセラノスの活動について、「指先から採取した数滴の血液でさまざまな疾患の有無が判断できる」と説明していました。病気の診断に革命を起こす技術だと評価され、企業価値は一時90億ドル(約1兆円)にまで達しています。
しかし、その技術が虚偽であると判明し、ホームズ被告らは起訴され、セラノスは2018年に解散。また、ホームズ被告は2022年1月に、4ヶ月に及ぶ裁判を経て陪審員による有罪判決を受けていました。
ホームズ被告の裁判では、テクノロジー企業の詐欺を司法がどれほど深刻に受け止めるのかが鍵でした。検察側は裁判にて、ホームズ被告が検査機「エジソン」について、医師や患者を故意にミスリードしていたとコメント。また検察は、ホームズ被告が投資家たちに企業の経営を大きく誇張して伝えていた、と指摘しました。
裁判では11件の罪状のうち、投資家に対する詐欺罪と通信詐欺罪3件の計4件について、陪審員らが有罪と判断し、最大で禁錮20年の刑が宣告される可能性がありました。
判決が言い渡される前にホームズ被告は、「自分の過ちに絶望している。私のせいで多くの人が何を経験したかと思うと、深く苦しんでいる」「自分の細胞のひとつに至るまで後悔している」と謝罪。しかし、裁判長はホームズ被告を素晴らしい起業家だったと称賛した上で、「過ちは普通だが、詐欺による過ちは許されない」と述べました。
ホームズ被告による詐欺の被害総額は1億2,100万ドルだと指摘されており、セラノスへの投資で多額の預金を失ったエイリーン・レペラ氏は「この事件のすべての事実を考慮すれば、妥当な判決だと思う」と、判決に満足している様子を語りました。
セラノスを設立したエリザベス・ホームズとは?
裁判で禁錮11年の判決が言い渡されたホームズ被告は、スタンフォード大学を退学した19歳のときにセラノスを設立しました。簡単な血液検査で病気の診断を行える革新的な技術として、セラノスの企業価値は瞬く間に上昇しました。
また、ホームズ被告はかつて「自力でビリオネアになった最年少の女性」として評価され、第2のスティーブ・ジョブズとまで呼ばれていました。ホームズ被告はスティーブ・ジョブズを意識し、常に黒のタートルネックのセーターを着用していたのも有名な話です。
多くの投資家から期待されていましたが、ホームズ被告は詐欺罪で告発され、有罪判決を受けました。アメリカのビジネス雑誌「フォーチュン」は、ホームズ被告を「世界で最も期待はずれの指導者たち」の筆頭として挙げました。
なお、元セラノス最高幹部で、ホームズ被告と長年恋愛関係にあったラメシュ・サニー・バルワニ氏も、同様の罪で起訴されています。今夏に有罪評決が下っていますが、言い渡しは12月になる予定とのことです。