男女雇用機会均等法違反でアメックスに220万円の賠償命令 育休明けに部下37人が0人に
米クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスに勤める女性が、男女雇用機会均等法などに違反するとして同社に損害賠償を求めました。その訴訟の控訴審判決が東京高裁で行われ、裁判官は同社に220万円の賠償を命じました。
損害賠償を求めた女性は2008年に入社。個人顧客向けの営業部門で昇進を重ね、2014年1月に37人の部下を持つ部長になりました。その後、妊娠に伴う体調不良で2015年2月から傷病休暇を取った上で、同年7月の出産前後にて産休・育休を取得。
その期間が明けると、部下のいない新設ポストに配置され、電話営業を指示されたとのことです。女性が率いていたチームは休業中に解体され、組織変更がされていました。同じ部長級の役職でありながらも、休業前と後ではまったく違う業務環境であったため、女性は男女雇用機会均等法などに違反するとして同社に損害賠償を求めました。
27日に東京高裁(永谷典雄裁判長)で訴訟の控訴審判決があり、判決は「均等法などが禁じる不利益な取り扱いにあたり、人事権の乱用で公序良俗にも反する」とし、女性の訴えを退けた一審・東京地裁判決を変更し、同社に220万円の賠償を命じました。
また、判決では「直ちに経済的な不利益を伴わない配置変更でも、業務内容の質が著しく低下してキャリア形成に影響を及ぼしかねないものは、不利な影響をもたらす処遇にあたる」と指摘し、妊娠、出産や育休取得を理由に不当な処遇を行えば、均等法や育児・介護休業法に抵触すると述べました。
産休・育休による男女雇用機会均等法の違反に賛否の声が
そもそも産休(産前休暇・産後休暇)とは、労働基準法で定められた制度で、出産の時期に認められた休暇を取得できます。母体保護の見地から認められている制度であり、産後休暇は必ず取得しなければなりません。
一方で育休(育児休業制度)は、育児・介護休業法によって定められた制度です。出産した女性だけでなく、その旦那である男性も取得でき、父母が同時に育休を取得することも可能です。
これら産休と育休は国によって定められた制度なので、会社都合でルールを変更することはできません。休業による不当な処遇も認められていないことから、今回の裁判ではアメリカン・エキスプレス側に賠償が命じられました。
この件に対し、ネット上では「賠償が220万円は安すぎる」「女性差別は本当に良くない」といった女性を擁護する意見があるのに対し、その一方で「1年以上会社にいないのに同ポジションって、会社からしたら難しいのでは?」「仕事と子育ての両立は会社的に無理かも」など、会社側を考慮した意見も寄せられています。