
KDDIは18日、スペースXの小型衛星を用いた通信システム「スターリンク(Starlink)」の説明会を開催しました。従来の携帯電話回線が届きにくい地域での提供状況などを説明し、松田浩路取締役執行役員は「3年間で100億円以上の売り上げを目指す」と明言しています。
KDDIは全国100ヶ所の導入を目指していること、また山小屋や海洋調査研修船など7月以降に予定している提供先、すでに提供している静岡県の離島や山間部の建設現場、土砂崩れの被災地などの活用状況を説明しました。
説明会では「通信環境を整備できる即時性が評価されている」と、スターリンクの有効性を強調しています。さらに、船舶上にスターリンクのアンテナを設置し、データ通信を行う様子を報道陣に公開。スターリンクの強みである通信の速さを示しました。
競合他社のソフトバンクもスペースXと連携した法人向けサービスを予定していますが、KDDIはすでに提供を開始しており、スターリンクの利用事例を増やすことで売り上げ拡大を目指しています。
スターリンクとは?仕組みやKDDIが提供するサービス
スターリンクは、スペースXが開発した全世界に高速なインターネット接続を提供する衛星通信サービスです。低軌道衛星を利用することで、高速で安定したインターネット接続を世界中で実現します。
特にインターネットの不足が問題となる地域に対し、効果的な解決策として期待が寄せられています。設置に必要な専用のアンテナとルーターを用意すれば、農村部や開発途上国、さらには災害時などでも利用することが可能です。
日本では2022年10月からサービスが始まり、2023年6月5日時点では4,543基の衛星が軌道上にあります。近年中には数万基の衛星が新たに加わる予定で、世界中どこでも利用可能な高速インターネット環境の実現に向けた動きが進んでいます。
スターリンクの特長である低遅延と高速通信は、これからのデジタル社会を支える重要な基盤となることでしょう。なお、KDDIは以下2つのサービスを提供しています。
サービス | Starlink Business | Satellite Mobile Link |
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概要 | インターネットアクセス回線として利用するサービス形態 | auのエリアを拡大するソリューション |
通信方式 | スターリンク端末を経由 | au基地局を経由 |
端末/基地局からの通信可能範囲 | Wi-Fi (半径50m)または有線 | 半径500m~数km程度 |
設置可能エリア | どこでも設置可能 | 従来通信設備を設置することができなかった山間部や島しょ地域 |
申し込みから利用まで | 約1カ月(目安) | 約6~10カ月 |
海上利用 | 将来的に対応予定 | 不可 |