宇宙開発を手掛けるベンチャー企業のispace(アイスペース)は26日、自社開発した着陸船が、月着陸に失敗したと発表しました。着陸直前には通信が途絶えており、失敗の理由を「途中で燃料が尽きて月面に衝突した可能性が高い」と説明しています。
月着陸に成功すれば、民間として世界初の試みとなったほか、日本としても初となり、旧ソ連、米国、中国に次いで4カ国目になるはずでした。同社の袴田武史代表は「月面に着陸するところまでの通信が確立していて、データを獲得できていることは非常に大きな達成。次に向けた大きな大きな一歩だと考えている」と、記者会見で自身の考えを述べました。
同社によれば、月を周回する軌道から減速して降りていくまでに異常はなかったとされますが、最終段階になって着陸船の燃料がなくなったことで、降下速度が急速に上昇し、月面に衝突した可能性が高いとのことです。
着陸船の詳細とispaceの今後
着陸船は2022年12月に米国で打ち上げられ、燃料をなるべく節約する軌道を取り、地球から最大約140万キロまで遠ざかり約5ヶ月かけて月に到着しました。人類が初めて月に降り立った米アポロ計画では約4日で月に到着していることから、両計画には任務日数にかなりの差があることがわかります。
無人着陸船は幅約2.6mで、質量は燃料非搭載時で約340kg。政府系宇宙機関がこれまでに開発してきたものと比較すると、大幅に小型軽量であるとのことです。
ispaceは米Googleが出資する民間初の月面探査国際コンテストに参加し、大きな注目を集めました。このコンテストではすべての参加チームが未達となりましたが、ispaceはその後も自社で開発を続けました。
ispaceは2025年までに今回を含めて3回の月着陸を計画しており、2回目には月面着陸と搭載したローバーでの月面探査を目指します。3回目は米航空宇宙局(NASA)と契約を結び、月まで荷物を運ぶ予定です。
3回目以降の目的は、「水資源探査を中心とした、月の情報と地球-月輸送サービスプラットフォームの構築」です。
今回の1件を受け、ネット上では「月着陸は大きな挑戦であると痛感した」「今回得られたデータをもとに、次回は必ず成功させてほしい」「かなりの部分は成功しているんだから、もっと褒めた内容でも良い」などの意見が寄せられています。今後のispaceの活動にも注目したいところです。